2014年7月19日土曜日

 「累積1mSvで被爆者手帳は交付されない」 それを新潟県庁が、しぶしぶ認めるまでのやりとりを公開します







平成26年6月30日


 岡  紀 夫 様

                                      新潟県福祉保健部
                                        健康対策課長      〇〇 〇〇
                                      新潟県防災局
                                        放射能対策課長   △△ △


  おたよりをお寄せいただき、ありがとうございます。
 岡様のおたよりに知事からお返事するよう指示がありましたので、担当課長である
私どもからお答えします。

 被爆者健康手帳制度は、ご指摘のとおり、原爆症認定とは異なる制度でありますが、
結果として、初期被ばく線量が1ミリシーベルトとされる方々にも、医療費が無料と
なる手帳が交付されております。

一方、福島原発事故については、年間20ミリシーベルト以下の区域を「早期帰還を
目指す区域」としているにもかかわらず、同様な措置がないことから、法の下の平等
に反するのではとの考え方に立ち、わかりやすい比較として、被爆者健康手帳を引用
したものです。
 被爆者健康手帳制度と原爆症認定制度を混同させる意図はありません。

 福島原発事故の被災者が多数避難されている当県といたしましては、引き続き被災
者支援に取り組んでまいります。
 今後とも、県政に対するご意見、ご提言をお聞かせくださるようお願いします。












泉田知事様


 「意図」がどうのというお話は答えにはなっていませんよ。私は御発言の【訂正】をお願いしています。

 2013年9月の御発言では 
「長崎、広島でですね、被爆手帳貰える方っていうのは、【累積被爆量、1mSv 】を超えた人に交付されてるんです」
と知事は仰っています。

「混同させる意図はありません」ということですが、知事の間違った認識からの御発言が更なる混同を引き起こしているのは事実であり、誤解を招いていますよね。混同されているのは知事御本人についてのお話でしょう。私に指摘されてはじめて両制度の違いにお気づきになられたのではないですか。知事だけでなく〇〇様と△△様もそうでしょう。それでも相変わらず間違った主張を変えられていないようですが、それはどうしてでしょうか。

 私が申し上げてきたことを御理解されておらず見当はずれのお返事と感じました。

 「累積 1mSv 」と「初期被ばく 1mSv 」は全く違いますね。今回の御回答は昨年の知事の御発言と明らかに食い違っていますが、いつから「初期被ばく線量 1mSv」へと変更されたのでしょう?知事がお忘れなのか、それともこれは新潟県職員様が考案されたお答えでしょうか。「結果として~」とのことですが、結果としてなら尚のこと1mSv なんて数字は手帳制度と何の関係もないでしょう。制度が違うんですから。私が提示した「4.1km 地点で、300mSv 」の結果を出している論文についてはお答えできないんですか?

 また、「広島、長崎では【1mSv でちゃんと国の手当てがなされる】のに、これ避難することもできない」とも仰っていました。世間に大きな誤解を与えている御発言です。これも必ず訂正して下さい。

理由は今もって不明ですが、どうやら知事の仰る「1mSv」は原爆の爆発後、1分以内の、主に中性子線とガンマ線による瞬間的な外部被爆である「初期放射線」だけに必ず限定されており誘導放射線、残留放射線等の被ばく線量は除外するというお話のようですから、その意味であれば福島原発事故では住民の「初期放射線」はゼロですし年間被曝量もゼロでしょう。原爆の「初期」は1分以内の外部被ばくですから福島では今後何十年経ってもゼロのままですね。どうしても知事が「初期」のみに限定されるというのですから年間20mSv も嘘になりますし福島は全くもって安心・安全な被ばくのない場所ということになります。つまり福島は長崎・広島以上に「ちゃんと国の手当てがなされている場所」ですね。DSの「初期被ばく線量、1mSv」【限定】が根拠なのですから。

 私はこれでも、お答え頂いたことに対して至極真面目に返事をしているつもりです。私の真剣な問いに対して、あなた方はこういう類のお返事をされたのですよ。もう不誠実な回答はやめて頂きたい。

比較できるはずもない異なるタイプの放射線被ばくや違う性質の被害者を無理に比較して、しかも一方の被害者についてだけ都合よくつまみ食いした身勝手な解釈。それを 「わかりやすい比較として引用した」 などと根拠も無いデタラメを仰られても到底納得できません。そうではなく単に知事の思い込みから、うっかり失言したという話でしょう。原爆被爆者についての誤解と偏見を世間に招いておきながら、新潟県職員も一緒に加担して良識のなさゆえに迷惑を引き起こしていますね。私からのメール内容についても結局、ほとんどまともに答えられませんよね。そうでしょう。事実としてありもしない制度や法律を、いつまでもあるかのごとく紛らわしい表現を強弁し、さらに「法の下の平等」などとは、もはや屁理屈の域です。まずは間違えたことくらいきちんと認めて反省して頂かなくては、お返事こそ頂けても、そこに誠意など微塵も感じられません。私は私なりに真剣に知事にぶつかってきたつもりですが、これではあしらわれているだけという気がします。

 この10か月、知事の御発言によってどれだけ振り回され、多くの人達から理不尽な悪意を投げつけられてきたことか御存知ないでしょう。「私は知事の言うことを信じる。被爆者は、たった1mSvで金が貰えていい思いをしていることを知られたくないから、そんな画策してるんだろう」などという不愉快なメールも送られたりしました。こういうのも知事のせいですよ。それでもどこかで私も知事のことを信じたいと思っていましたから、待ち、我慢し、訴えかけ、支持もしてきました。

私の説明を聞いて理解して下さる方は沢山いましたし訂正に快く応じて下さる方もいましたが、肝心の知事が沈黙を続けるせいで時には私が悪者のように侮辱される理不尽さまで味わいながら、何度も誤解している人たちに対して事実を説明し誤解を解いてきました。本来、知事が責任を持ってなさるべき後始末を、迷惑を被った側の私が行い修復してきました。一般常識からみれば訂正や謝罪など最低限の話であり、私の書いたブログ内容を紹介して頭を下げてお礼を言って欲しいくらいの気持ちです。今の知事には東電を批判する資格はないでしょう。その姿勢は最初の間違いと虚偽を強引に押し通して保身を優先させる東電と同じにさえ思えます。

そこまで自信をお持ちならば今後も同じ御発言を続けられてみては、いかがでしょう。知事を鵜呑みに信じて「筋が通っている」などと絶賛する人がまだ圧倒多数ですし、このまま黙ってさえいれば特に誰にも責められもせず恥もかかずに誤魔化せるでしょうから。卑怯ですよ。そうやって、御高齢で長年病気を抱えて本当に苦しんできた弱い立場の原爆症の人まで「政治家の無責任と大衆のエゴが重なって作り出す無理解」という暴力で踏みつけられ、みじめな思いで捨て置かれ亡くなられていくのでしょう。

 つい先日(26日)も、大阪の武田さんという原爆症の被爆者が、原爆症認定訴訟で闘い一度は勝訴したものの国に控訴され、次の裁判を待たずして落胆されたまま認定もされずに亡くなりました。武田さんは被爆者手帳の取得の際も証人が見つからず何年もかかり、手帳申請とその取得だけでも、とても苦労されています。原爆で人生を翻弄され、ガンという重い病気を患い手術をしながらも勇気を振り絞り、訴訟で闘ってきました。

長崎の被爆体験者訴訟原告団の会長だった小川さんという方も生前、同じことを言ってました。被爆未指定区域の住民だった小川さんは幼くして被爆しましたが生涯、被爆者手帳も持てないまま正式な被爆者とも認められず、病気を繰り返しました。敗訴の判決後にガンで他界されました。累積1mSv で被爆者手帳交付?貰えるわけないじゃないですか。いい加減にして欲しいですね。

 ただでさえ理解されずに偏見に苦しんできた被爆者について、大見栄きった軽率な発言をして後は沈黙。何ヶ月も放ったらかした挙句、自分の失敗を認められず最後は県の職員ぐるみで適当にお茶を濁して、この期に及んでまだ逃げようとする。こんな態度が通用するとお考えのようですが思い上がりも甚だしいです。

 御発言の公式な【訂正】をお願いします。お答えください。











岡 紀夫  様


おたよりをお寄せいただきありがとうございます。

このたび岡様からいただきました電子メールにつきましては、確かに拝受いたしまし
た。

お寄せいただきました御意見の内容につきましては知事に伝えますとともに、当県の
担当部署にも伝えさせていただきます。


平成26年7月1日

新潟県知事政策局広報広聴課













新潟県知事政策局広報広聴課
           担当者様


  メールで頂いた回答を拝見し、私が熟慮したうえで決めた事をこのたび重ねてお知らせします。
 
 国民に正確な情報を一番に伝え、実際に行われていることを正確に説明するべきであるはずの行政側が、その本来の責務を放棄し、泉田知事の発言による誤謬が社会に拡がることを容認・擁護している事実について悪質であると、回答から判断いたしました。

 このまま同じ様な回答が続くか、すみやかに訂正意向の回答が得られなければ、事実無根の情報を広められ、適切な対応を怠ったままによる精神的苦痛を公職の立場にある方々から与えられ続けていることに対して、泉田知事様および新潟県庁担当者様に対し、民事の法的手続きを視野に入れ検討していくことに致しました。

手配にはしばらくの時間がかかりますが、できるだけ年内には、そちら様へ正式な訴状がお手元に届くように粛々と進めていく所存です。その際には、またあらためて正式な書面にて詳細をお伝えする運びとなりますので、その事もあわせて泉田様、〇〇様、△△様へお伝えくださいますよう、どうぞよろしくお願い致します。

                                




新潟県福祉保健部
健康対策課長      〇〇様



 私からの以下の質問について御回答ください。

〔質問1〕
 原子爆弾の被爆者健康手帳に関して、その交付条件となる全ての事柄について「新潟県福祉保健部からの正式な回答」を私にご教示ください。


〔質問2〕
 「累積被ばく量、1mSvで被爆者健康手帳が交付されるかどうか」について、「新潟県福祉保健部からの正式な回答」を私にご教示ください。



〔質問1〕および〔質問2〕の、どちらも必ず詳細に御回答ください。

 万が一、私からのこれらの質問に対し、7月8日までに何らかの御返信を頂けないか、もしくは質問に対してきちんとお答えされない場合、一般国民からの被爆者健康手帳交付要件の質問に対し、新潟県庁が「回答の義務を放棄した」とみなします。

 仮に、回答拒否の御意向がある場合には「拒否します」と返信にてお答えください。

 これらは全て途中経過の重要な記録と致します。

 よろしくお願いします。
                            
                              岡 紀夫












                                                    平成26年7月8日


 岡  紀 夫 様

                                            新潟県福祉保健部
                                              健康対策課長      〇〇 〇〇
                                            新潟県防災局
                                              放射能対策課長  △△ △


  おたよりをお寄せいただき、ありがとうございます。
 岡様のおたよりに知事からお返事するよう指示がありましたので、担当課長である
私どもからお答えします。

 被爆者健康手帳は、原子爆弾が投下された際、一定の地域において被爆した方など
に交付され、被ばく線量についての基準は示されていませんが、爆心地から3.5キロ
メートル(国の資料によれば、この地点は初期放射線量でみた場合、1ミリシーベル
ト相当であったとされています)の方にも、手帳は交付されています。
 そのままここにとどまれば、累積被ばく線量は上昇することが想定されますが、福
島原発事故については、年間20ミリシーベルトの被ばくでも補償なしに帰還を求める
こととなり、法の下の平等の原則から問題があると考えています。










新潟県福祉保健部      〇〇様


  御返信ありがとうございます。

 せっかくですが残念ながら、今回頂いたメールには私からの質問に対する御回答はどこにも見当たりませんでした。

 誤解されている様ですので確認としてもう一度説明いたします。前回のメールにて私がうかがった事は被爆者健康手帳制度・交付要件についての法律事項に関する二つの質問です。

 それらについて「新潟県福祉保健部からの正式な回答」を要求しました。

 ですから知事宛てではなく新潟県福祉保健部、〇〇様宛てでメールを差し上げているはずです。

 今回頂いた返信は知事個人の考えを再び仰った内容と見受けられます。

 それともまさかとは思いますが、この御返事が被爆者手帳交付要件に関する法律事項の質問への「新潟県福祉保健部からの正式回答」と受け取ってもよろしいということなのでしょうか。

 今回の〇〇様および△△様の御説明ですと、たとえばこれから手帳申請を希望される方には「果たして自分が手帳を取得できるのか、できないのか」、定められている法律条文と照らし合わせて様々な疑問について判断しようとする場合に、この御説明からは答えを得られませんし、これが新潟県庁の回答として満足なものであるとは到底思えません

 さらに、この内容ですと、まるで初期放射線、1ミリシーベルトの被爆であれば法律が手帳交付を確約しているかのようにも聞こえますが、新潟県に問い合わせた手帳申請希望者は、この説明で交付要件を正確に把握することができるとお考えでしょうか。

「初期放射線で見た場合...」と、前回から同じお話を繰返されていますが、初期ではなく「累積」と知事は発言されています、と私はすでに申してあります。その指摘に対する返答もまだ得られていません。また、初期だけに限定して原爆の被爆線量を語ることはナンセンスであることも私から詳細に説明しました。いちごをひとつだけ皿にのせて見せ「これはイチゴショートケーキだ」と言い張る位、極端で偏った主張です。

 3.5km地点が1mSvというのは国側の主張に過ぎず確定事項ではありません。たとえば、素粒子物理学者で名古屋大名誉教授の沢田昭二氏は、直接被爆者の場合、3.5km地点で900mSvの被爆線量と計算しています。そして仰るような「結果として」の話なら尚更、原爆の場合だけ一瞬の初期被爆のみに固執して語ろうとされるのは理解できない理屈です。

 それに初期としたところで、「初期放射線、1mSvの被爆で被爆者手帳交付を保証する法律」などありません。それは事実と異なります。知事の認識は原爆実相をご存じない方が陥る典型症状であり明らかな誤認識です。私から言えば「直接被爆者の3.5kmで900mSv、また、4.1kmで300mSvの被爆であっても被爆者手帳を持てない人など現実に大勢いますよ」ということです。それについてはいかがですかと申し上げています。

ですから「累積1mSvでちゃんと国の手当てがなされている」の発言などは、原爆症認定訴訟が今でも絶えないという世間の現実からは乖離しており、全く理解の範疇を超える誤認識です。この発言により社会に大きな誤解を引き起こしています。

 こういうたとえ話をしてみます。
 
 Aという人に暴力を振るったBが、「自分はAを殴ってはいない」と否認をし続けている。殴られて怪我を負わされたAがそれに怒り、Bに対して訴訟を起し、裁判で勝って、治療代などの賠償金を払わせることになった。それでもBはまだ否認を続けていて「自分は殴っていない。せいぜい軽く触れた程度。触れただけで怪我をするはずがない。それでも自分は、Aにこんなに金を払い続けている」と周りに言いふらす。

それまでのAとBの経緯をよく知らない周囲の人たちがBの一方的な話だけを聞いて「そうなのか、Aは軽く触れられただけで、ちゃんとBから賠償してもらっているのか」と信じ込む。

 その様子を見たAは驚き「事実は違いますよ。Bは私を殴ったのです。軽く触れただけなんて嘘です。実際、大怪我させられました。裁判でも、Bが私を殴った事実は何度も証明されています。にもかかわらず殴った行為を、いまだにBは認めていません。現在Bから私に支払われている賠償金は、Bの主張する「軽く触れた」ことが根拠になっているわけでは決してありません。Bが自分の暴力行為を嘘で矮小化し続け、単に自分を正当化しているだけの話です。ですから、Bの〔触れただけ〕の主張と賠償金支払い約束のあいだには何も関連はありません。私は殴られました。誤解を広めないで下さい」と、説明しようとするのは当たり前のことです。

 当然ですが、Bの「軽く触れただけだ」との主張が賠償金支払いを保証する理由や根拠になっているわけがありません。

 「触れただけでAに金を払っているから、私にも払わなければ不平等だ」と、今度はCが筋違いの要求をしてみたところで、Bが「そうですね。少し触れたあなたにも払いましょう」となどと支払いに応じるわけもなく、むしろ被害事実を覆い隠す誤解が人々に拡がる副作用を招くだけです。Aにとっては迷惑このうえない話です。


今の知事は、Bの言い分だけに思い込みで同調していて事実経緯の知識がない人そのままの姿であり、混同と飛躍したこじつけに過ぎません。Bを責めているどころか、Bに加担している迷惑行為です。

 「Aは、軽く触れられただけでも、ちゃんと賠償されているんです。医療費無料になるんですよ。触れられただけで、ちゃんと手当てがなされている。法の下の平等はどうなってるんですか」

 滑稽な発言です。

 そこで私が知事に向かって「事実は違います。本当はAは酷く殴られています」と説明すると「Bによれば最初、触れただけですが、Aは賠償されています」と知事がお答えになる。私が「実際にはAが怪我をするほどの回数をBが殴っています」と言うと知事があくまで〔最初に触れたこと〕のみに限定して話を続けていこうとする。私が知事に、「Bの言う〔最初に軽く触れただけ〕を理由としてBがAに賠償支払いしている事実などありません。今までの経緯をよく知らない人には一見そんな風に見えるだけです。事実と違います。軽く触れただけで賠償されたりはしません」と知事に言うと知事は「Aは最初、軽く触れられました。それでも、Aは賠償されています」と相変わらず論理の飛躍を繰返す。

したがって、知事個人の解釈らしき曖昧な話の提示などではなく、法律と事実の見地に基づいた公的機関にふさわしい御説明が新潟県庁から行われて然るべきであり、それをこの機会に拝聴したく、制度について〇〇様に返答をお願いしています。

 広島県庁や長崎県庁の担当課からは被爆者健康交付要件に関する私からの同じ質問事項に対し即、明瞭なお答えを頂きました。

 他県と同様、新潟県庁からも以下の質問への回答を、お願い致します。

 まだ回答が得られていない事項について質問いたします。



〔質問1〕
 原子爆弾の被爆者健康手帳に関して、その交付条件となる全ての事柄について「新潟県福祉保健部からの正式な回答」を私にご教示ください。


〔質問2〕
 「累積被ばく量、1mSvで被爆者健康手帳が交付されるかどうか」について、「新潟県福祉保健部からの正式な回答」を私にご教示ください。





  前回と同じ二つの質問です。どちらも詳細かつ明瞭にお答えください。恐縮ですが、新潟県として、すみやかに御回答くださいますよう、お願い致します。

 7月15日までに回答が得られなければ、「新潟県は私の質問への正式回答が出来ない」と受け取ります。

 よろしくお願い致します。

                                                                岡 紀夫












      平成26年7月9日

 岡  紀 夫 様

                                         新潟県福祉保健部
                                                    健康対策課長    〇〇 〇〇

  おたよりをお寄せいただき、ありがとうございます。
 ご質問いただきました件について、次のとおり回答いたします。

[質問1について]
  被爆者健康手帳の交付については、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律
(以下、「法」という。)に基づき、法第1条各号のいずれかに該当する者であって、
法第2条に定める申請をしなければならないとなっています。


 [質問2について]
   累積被ばく量1ミリシーベルトをもって交付されるものではありません。

  今後とも、県政に対するご意見、ご提言をお聞かせくださるようお願いします。









↑  たったこれだけ(赤色)の、役所本来の姿としてあるべき当然の回答を得るまでに、これだけの長いやりとりと労力、期間を費やしました。広島県や長崎県は被爆者手帳に関する私の質問に対し正確、明瞭、すみやかな回答を一度で返答してきました。なぜ新潟県も最初からきちんと回答を示せないのか。県庁という非常に重要な公的組織の人達が一体何をやってるんでしょう。国民に正確な情報を説明しようとしないのは地方公務員法にも抵触しかねない違反行為です。役所こそ真っ先に率先してそれを行うべき義務があり、公私混同と言わざるをえません。原爆や被爆者について、新潟県庁の意識の低さには唖然とします。


2013年9月に行われたメディア懇談会での泉田知事の発言以来、私は被爆者手帳についての発言部分が事実とは違うことを指摘し、知事御本人に対して何度も訂正を呼びかけてきました。

以来、約10カ月間、間違った情報はネットを中心に席巻し続け、今でも知事の発言がもとで誤解したままの人達が沢山います。

はっきり言えば、被爆者が社会からの正しい理解を得るために地道に行ってきた努力にも泥を塗られたかっこうとなりました。

それでも私は、できるかぎり穏便に解決したいとつい最近まで考えていましたし、知事を信じて何らかの訂正を待っていました。

実は、この事実無根の話に腹を立てていた知人の被爆者は私の周りにも何人かいたのですが、私は陰でその人達を説得し、知事をかばったりもしていました。

しかし私の想像とは全く違い、泉田知事や新潟県庁には「人に迷惑をかけた」という意識さえもなかったことが、やりとりを通じてみてだんだん判り、良識の欠如に驚きました。自分達をひたすら正当化して逃げ続けた態度に怒りがおさまりません。

「はだしのゲン」などでも御存知のように、原爆にあった人は、こういった無理解やデマにも苦しんできました。

この件について、泉田知事と新潟県庁は無責任な対応のあり方を反省すべきです。

今回、新潟県庁からは、ようやく正しい回答を得ました。それも私からの詰問の末ようやく、しぶしぶです。

しかし泉田知事ご本人はまだ発言の訂正はしていません。おそらくこのまま訂正はしないつもりでしょう。私が、これらのやりとりを公表しなければ何も問題なかったことにされてしまいます。ですから思い切ってこれらのやりとりも公開しました。

間違えたこと自体を私は咎めてはいません。非常に影響力が大きい公的立場にかかわらず無責任に放置を続けていることが問題です。

公式の場で行われた際の発言ですから、間違いと判った時点で再び公に訂正すべきなのは当たり前のことです。混乱と誤解を引き起こしたのは事実で、一般人の発言の話とは次元と責任がまるで異なります。

今度のこの件に関して、この人たちの態度に私は本気で怒っています。



被爆者健康手帳の交付要件【PDF資料】



広島県庁に私から確認の問い合わせをして、この件について正式な回答を頂きました。


新潟県とは違い、すみやかに明瞭な回答を頂きました。




〔私からの問い合わせ〕

被爆者健康手帳が交付される場合、広島県のホームページでも公開されている申請交付要件には記載されてないようですが、こんな噂があります。「長崎・広島では累積被ばく量、1ミリシーベルトで被爆者手帳が交付される」という話を聞いているのですが、これは本当でしょうか。累積で1ミリシーベルトの被ばくなら被爆者手帳が貰えるのでしょうか。このような事実はありますか。被爆地である広島に問い合わせれば判ると考えメールを送信致しました。広島県としての回答を、ご教示下さいますよう、どうぞよろしくお願い致します。


〔広島県からの正式回答〕

ご照会のありました,被爆者健康手帳の交付条件ですが、
手帳交付の要件に、
「累積で1ミリシーベルトの被ばく」という要件はありません。
よって、「累積で1ミリシーベルトの被ばく」をもって、手帳を交付することはありません。
よろしくお願いします。

【広島県被爆者支援課】






被爆者団体、日本被団協にも確認してみましたが同様のお答えを頂いています。



もちろん仰る通り、被爆者手帳に線量規定などなく、間違った認識が拡がることは本当に困ります」 

【日本被団協】







また、上記に加え、同様の質問についての長崎県長崎市

さらに隣の岡山県山口県、それぞれの回答を以下に掲載します。

新潟県とは違い、すみやかに明瞭な回答を頂きました。




〔長崎県からの正式回答〕

お問い合わせいただいた被爆者健康手帳については、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」(以下、被爆者援護法)第1条第1項の1号から4号に該当する方に交付されます。
被爆者援護法の概要はホームページに紹介しておりますが、
被爆者援護法には「広島・長崎では累積被ばく量、1ミリシーベルトで被爆者手帳が交付される」という規定はございませんので、当然、被爆者援護法の被爆者として認定されることはございません。

今後とも被爆者援護法の規定をホームページなどで広く皆様にお知らせし、被爆者援護法の適正な運用を図ってまいります。



〔長崎市からの正式回答〕

被爆した放射線量を被爆者健康手帳の交付要件とする法の規定はございませんし、
交付した事実もございません。



〔岡山県からの正式回答〕

被爆者健康手帳の交付要件については、
「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年12月16日法律第117号)」
で定められております。
この法律の前段には、国の責任においてということが明記されており、
原爆施策については、国の指針に基づき、
各県及び広島市、長崎市において実施しているところです。

手帳の交付要件につきましても、この法律に則り、
法律に定めのある要件に該当することが証明できるものについて認定を行っております。
この要件の具体的な区域については、
「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行令(平成7年2月17日政令第26号)」
に規定があるとおりです。
岡山県においては、他の他府県両市と同様に、
国の定めた認定基準に沿って認定をおこなっているところです。

なお、お問い合わせの文中に、1ミリシーベルトという標記がございますが、
上記の法律に、手帳の認定において、1ミリシーベルトという要件記載はありません。



〔山口県からの正式回答〕

被爆者健康手帳の交付については、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づき、都道府県が審査し、交付することとなっています。

審査に当たっては、申請者について被爆の事実等を確認していますが、被ばく量について確認するようなことはありません。

したがいまして、
「累積、1ミリシーベルトの被ばくで被爆者手帳が貰えて国の手当てがなされる」 
といった事実はありません。



新潟市にも質問してみました。すぐ対応して下さり御回答を頂きました。

〔新潟市からの回答〕

回答させていただきます。

ご質問の交付条件については、添付資料をご確認ください。

また,被爆者手帳の交付と被ばく量については、現時点では、国から示されているものや情報はありません。







これらの正しい回答を最初から提示しなかったのは新潟県のみです。





 私の知人で長年、被爆者相談員に従事している方(60代女性)から、このことについてのコメントを合わせて掲載して欲しいと私に連絡がありました。
以下です。

「これは知事が悪いですね...。私は長崎で相談員をしていますが、被爆者健康手帳は嫉みの対象になりやすく、こうした誤解から偏見を招きかねません。理解を得るために周囲が積み重ねてきた努力も水泡に帰しかねないので、公に発言されたものですから、きちんと訂正をなさって欲しいと思います」