2018年8月6日月曜日

広島に原爆投下3日後の写真、少女のその後の人生は



2018年8月5日(TBS)

広島に原爆投下3日後の写真、少女のその後の人生は

8月6日、広島は被爆73年となる「原爆の日」です。がれきの中に立ち尽くしていた少女の姿が、1枚の写真として今に残されています。少女はその後、どんな人生を送ったのか、家族の思いとともにその足跡をたどりました。
不安げな表情で、少女はカメラを見つめています。原爆投下から3日後、混乱が続く広島で新聞記者が撮影した写真です。ただ、右腕と顔を負傷した少女は誰なのか、70年以上わかっていませんでした。

「これが記憶にあった。このおかっぱ頭が」(藤井哲伸さん)
インターネットで偶然、この写真を目にした藤井哲伸さん(58)は、すぐにある人の面影に気付きます。藤井さんの母、幸子さんです。
「(母親と)似ているなと。決定的だったのは、顔かたちもそうだったけど、やっぱりこの右手のやけどを子どもの頃から知っていたのがあって」(藤井哲伸さん)
藤井さんが新聞社などに名乗り出たことで、少女は当時10歳だった幸子さんと確認されました。幸子さんは、爆心地からわずか1キロほどの自宅で被爆しました。すべての建物が破壊され、住民の4割が即死したという場所でしたが、奇跡的に一命をとりとめました。
「窓に向かって、右手をついて座っていたところにぱっと光が来て、右腕のところだけやけどをした」(藤井哲伸さん)


小学校の時はクラスのリーダーだったという幸子さん。広島の高校を卒業した後、1959年に結婚し、藤井さんと妹の2人の子どもに恵まれました。しかし、懸命に子育てをしていた30代の頃から、原爆の放射線の影響とみられる体調不良に苦しめられます。
闘病を続けた幸子さんは、藤井さんが高校に進学した直後、42歳の若さで亡くなりました。死亡診断書の病名は、骨髄がんでした。
「何も訳わからず亡くなられた方はたくさんいらっしゃるわけですから。少なくとも私は母親が被爆しても、何年かは母親と子どもの関係が作れたので、納得できる部分はある」(藤井哲伸さん)
広島の原爆資料館は来年、展示内容を大幅に変えてリニューアルオープンします。幸子さんの写真は、年間150万人を超える来館者を迎える資料館の入り口に大きなパネルにして展示されることになりました。
藤井さんは、幼いころの母の写真から「核兵器が長い間、人を苦しめることを知ってほしい」と話します。
「母親の人生を理解していただいたときには、核兵器はやはり将来にわたって悪影響を及ぼすというか、人類の未来、社会に対して全く無責任な武力だと」(藤井哲伸さん)
破壊された広島の街角に立ち尽くしていた少女は、核兵器が何をもたらすのかを訴え続けます。



2018年8月3日金曜日

原爆病院の被爆者 約4割がん




2018年8月3日(NHK 長崎放送)


被爆者の治療や健康管理を行う長崎市の日赤長崎原爆病院で、昨年度、入院して治療を受けた被爆者は1702人でこのうち、およそ4割はがんの治療だったことがわかりました。

日赤長崎原爆病院は毎年この時期に被爆者の診療状況を発表していて、3日は平野明喜院長が記者会見を開き、ことし3月までの1年間のまとめを明らかにしました。

それによると、昨年度、原爆病院に入院して治療を受けた被爆者は、前の年度より81人少ない1702人でした。

このうち最も多かった病気は「がん」で639人と全体の37.5%を占めました。

がんの種類は「肺がん」が219人と最も多く、「悪性リンパ腫」が52人、「大腸がん」が50人、「胃がん」が49人などとなっています。

また、入院している被爆者の平均年齢は2年前から80歳を超え、昨年度は80.5歳で、女性が81.6歳、男性が79.5歳となりました。

長崎原爆病院はことし5月に新病棟が開設され、外来患者の抗がん剤治療を受けられる治療室を拡大したほか、2年後にはがんの痛みを和らげる「緩和ケア病床」の運用も始める予定です。

日赤長崎原爆病院の平野明喜院長は「被爆者の治療や健康管理を行うのがこの病院の使命である。被爆者はがんが多く、在宅治療などを充実させるほか最新の医療を提供するなどして被爆者の治療に関わっていきたい」と話していました。




2018年8月2日木曜日

「被爆者健康手帳」申請の壁と低い交付率

年々立証難しく 「まずは相談を」

被爆者健康手帳の申請時には、原則として罹災(りさい)証明書や2人以上の第三者の証明を添えるなどとされる。だが、戦後70年以上が過ぎて被爆の立証が難しくなり、交付が認められる割合は減っている。厚生労働省によると、2013年度に交付が認められたのは申請の約47%だったが、年々低くなり、16年度は約34%だった。
日本原水爆被害者団体協議会の代表委員、田中熙巳さん(85)は「被爆者は高齢化し、幼少期に被爆した場合は特に証人を探すのが難しい」と話す。県原爆被害者の会の辻村さんは「証人がいないことで諦めている人はまだまだ多いと思う。まずは相談してほしい」と呼びかけている。

広島、長崎で原爆に遭ったとして被爆者健康手帳の交付を求める申請が、被爆から70年となった昨年8月以降の1年間で303件に上ることが、47都道府県と広島、長崎両市への取材で分かった。いまだに多くの申請がある背景には、被爆者が自身や子供の結婚などでの差別を恐れ長年申請をためらってきたことや、高齢になり医療援護の必要性が強まってきたことなどがあるとみられる。


被爆手帳申請 なお303件 「差別」に長年ためらい


2016年7月31日(毎日新聞)
広島、長崎で原爆に遭ったとして被爆者健康手帳の交付を求める申請が、被爆から70年となった昨年8月以降の1年間で303件に上ることが、47都道府県と広島、長崎両市への取材で分かった。いまだに多くの申請がある背景には、被爆者が自身や子供の結婚などでの差別を恐れ長年申請をためらってきたことや、高齢になり医療援護の必要性が強まってきたことなどがあるとみられる。

申請は、21自治体にあり、うち広島市134件、広島県64件、長崎市37件、長崎県11件と被爆地が8割を占めた。他に多かったのは、大阪府12件、福岡県9件、東京都7件など。
厚生労働省によると、申請数は2013年度719件、14年度582件、15年度436件−−と減少しているが、被爆者の平均年齢が80歳を超えた今もなお、申請が続いている。広島市の担当者は「差別があってすぐに申請できなかったという話や、体が弱ってきたので申請したという声をよく聞く」と説明。福岡県の担当者も「家族や子供への影響を考えて踏み切れなかった人や、被爆事実を証明する証人が探し出せないなどの理由であきらめていた人もいる」と話す。
一方、審査結果が出たうち交付は68件、却下は100件、審査中が129件で、却下が交付を大きく上回った。取り下げなどが6件あった。国は被爆当時の罹災(りさい)証明書や第三者2人以上の証明などを申請者に求めているが、高齢化した被爆者が自力で探し出すのはほぼ不可能な状態になっている。
長崎市は申請37件のうち6割超の25件を却下し、交付は1件にとどまる。同市の担当者は「年数がたち、証拠や第三者の証明が見つからないこともあり、なかなか取得につながっていない」と説明。広島県の担当者も「できるだけ客観的なもので被爆事実を証明してもらわなければならず苦労している」と語った。【樋口岳大、青木絵美】

救済の解決策を

被爆者問題に詳しい田村和之・広島大名誉教授(行政法)の話 おおむね10歳以上で被爆し、体験をよく覚えていた世代は高齢化で記憶があいまいになり、逆に若年被爆者には記憶がない人もいる。証拠や証人がなければ認めないという姿勢を行政がこのまま続けると、救済されるべき人が切り捨てられる可能性がある。知恵を出し合って解決策を考える必要がある。

被爆者手帳 交付3割どまり 昨年度申請 322件


2017年8月5日(毎日新聞)
広島、長崎で原爆に遭ったとして被爆者健康手帳の申請が昨年度約320件あり、交付が認められたのは3割にとどまることが厚生労働省への取材で分かった。医療援護の必要性などから申請は依然多いが、交付割合は年々減少傾向にある。原爆投下から72年が経過し、申請に必要な被爆の証明が困難になっている現状が浮き彫りになった。
    交付事務は各都道府県と広島、長崎両市が行い、厚労省によると、昨年度は26自治体に計322件の申請があり、交付は34%に当たる111件だった。交付の内訳は、広島市45件▽広島県12件▽神奈川県8件▽長崎県6件▽長崎市6件--などとなっている。
    一方、申請に対する交付件数と割合は、2013年度が申請719件に対して335件(47%)▽14年度が582件に対して244件(42%)▽15年度が436件に対して183件(42%)--で、交付割合は年々減っていた。
    国は申請する際、被災証明書など被爆を証明する書類や第三者による証言を求めている。ただ、申請件数が全国最多の広島市の担当者は「近年は証明書類の提出は少ない。日記や写真を持参する人が多いが、被爆が分かるものはごく一部。証人の記憶が明確でないことがある」とし、認定の難しさを指摘する。
    一方、手帳の申請が現在も300件を超すことについて、手帳取得の相談に当たる広島県原爆被害者団体協議会の佐藤奈保子さん(70)は「偏見を恐れて申請できなかった人たちが、高齢化で医療援護が必要となったりしたケースが多い。限られた時間の中で支援する我々も焦りを感じる」と話している。【山田尚弘】

    被爆手帳、交付わずか3割 証人が減少…認定のハードル高く


    2018/07/29付 西日本新聞

    終戦から73年を迎えようとする今も、原爆に遭ったことを証明する「被爆者健康手帳」の交付を求める人たちが後を絶たない。原爆放射線によるとみられる病気になり、健康不安や医療援護の必要性にさらされているからだ。ただ、第三者2人の証言が必要とされるなど認定のハードルは高く、交付割合はわずか3割にすぎない。支援者は「今の姿勢を行政が続ける限り、救済されるべき人が切り捨てられる」と訴える。
    厚生労働省によると、手帳の申請件数(交付件数)は、2013年度719件(335件)▽14年度582件(244件)▽15年度436件(183件)▽16年度322件(111件)▽17年度392件(122件)-。17年度の交付割合は31%で、年々下がり続けている。
    国は原則として、行政が発行した当時の罹災(りさい)証明書などの公的書類や、第三者2人以上の証言を求めている。公的書類が新たに見つかることはまずなく、証言頼みなのが実情。被爆者の高齢化で記憶があいまいだったり、幼児期の被爆で記憶が十分になかったりし、証言の信用性がないと判断されるケースもある。
    福岡市原爆被害者の会は11年以降、29人から手帳の申請について相談を受けた。結婚や就職における差別を懸念して、親が被爆を伏せていた人がほとんど。第三者の証言が得られないなどの理由で18人が申請できなかった。申請できた11人についても4人は証言の信用性などを理由に却下されたという。
    爆心地から約3キロの長崎市の自宅で被爆した平山美穂子さん(76)=福岡県=の場合、長崎市職員だった父は差別や偏見を恐れてか、市の原爆被害調査に平山さんの被爆を「なし」と回答していた。それを覆す第三者の証言も得られず、一時は諦めていたという。
    相談を受けた同会は、手帳を取得していた父自身も同じ調査に「なし」と回答していた点に注目。「原爆症の有無」と勘違いして回答した可能性があるなどの理由を添えて昨年末に申請した。福岡県は6月末、長崎市が保有する父親の手帳交付時の申請書を確認し、申請理由なども総合的に判断して平山さんを被爆者と認めた。
    同様に家族や親族が手帳を取得していた場合で、その申請書に本人の被爆の記述があった場合や、約9万人の被爆者を調査した米国の研究機関の調査票が後継団体の「放射線影響研究所」(広島市、長崎市)に残っていた例もある。いずれも手帳交付につながったが、こうした記録がなければ認定は難しい。
    同会相談活動委員長の木村誠吾さん(75)は「70年以上がたち、証拠や証人探しは困難になっている。行政は、本人の記憶の具体性など申述をじっくり聞いて判断してほしい」と話した。

    「被爆なし」記載も手帳交付 差別の恐れ考慮

    2018年8月1日(毎日新聞)

    福岡県が今年5~6月、男女2人の被爆者健康手帳の申請について、亡くなった親族が過去に手帳を取得した際の申請内容などを基に手帳を交付していたことが分かった。うち1人の女性は、1960年に父が自らの手帳を申請した書類には「被爆なし」と記載されていたが、県は「差別を恐れて子どもの被爆を隠していた可能性がある」などの事情を考慮して被爆者と認めた。

     国は手帳申請者に対し、罹災(りさい)証明などの公的書類や「第三者2人以上の証明」などの提出を求めているが、被爆から73年となる中で申請者自身が捜し出すのは困難になっている。2人の手帳取得を支援した福岡市原爆被害者の会は、福岡県の判断を「被爆者の実態を踏まえた柔軟な対応だ」と評価している。
     福岡県大野城市の平山美穂子さん(76)は3歳の時に長崎市の爆心地から約2.4キロの自宅で被爆したが、第三者の証人が見つからなかった。一方、被爆当時に同居していた父(72年に死去)は長崎市職員として勤務先で被爆し、15年後に手帳を取得していた。
     平山さんは、支援者の協力を得て父が申請した際の書類を長崎市への開示請求で入手。父は家族の被爆の有無を記載する欄に「被爆なし」と記していたことが分かった。父は生前、平山さんたちが差別を受けることを恐れてか、被爆についてほとんど話さなかったが、平山さんは姉や亡き母から被爆時の状況を聞かされていた。
     福岡県は平山さんについて、父の申請書類には「被爆なし」の記載があったものの▽一般的に被爆者が子どもの結婚などに支障が出ることを心配し被爆を隠すことがある▽当時3歳だった平山さんが1人で自宅を離れていたとは考えにくい--などとして6月に手帳を交付した。免疫が低下する病気を抱えている平山さんは「手帳はありがたい」と話す。
     また、5歳の時に長崎市で被爆した福岡市博多区の男性(78)は、差別を恐れる両親から「被爆したことは誰にも言ってはいけない」と口止めされていた。ともに被爆した兄は滋賀県から手帳交付を受けていたが、2004年に死亡。男性は、兄から生前にもらっていた申請書の下書きに「(男性も)被爆時に自宅にいた」との記載があったことを手がかりに昨年8月に福岡県へ申請。今年5月に手帳の交付を受けた。福岡県は、滋賀県に兄の申請内容を確認するなどしたとみられる。
     厚生労働省によると、被爆者健康手帳の申請は17年度に全国で392件あり、交付は98件。認定のハードルは高く、多くが却下されている。【樋口岳大】
    広島で自らも近距離被爆した居森清子さん(故人)は原爆で家族を全て失い孤児となりました。
    戦後は晩発性の原爆症による多重がんなどを度々発症、原爆の後遺症に苦しみました。

    30歳で結婚後、居森さんは夫のいた横浜に広島から移り住みました。
    最も身近な妻である清子さんの姿を通して、原爆被害について何も知らなかった夫も被爆者が抱えている苦しみを少しずつ時間をかけて理解していくようになりました。

    しかし様々な事情により理解者が誰もいないという孤独なケースも珍しくありません。

    関東の病院で居森さんと偶然出会った被爆者の女性から
    「被爆したことは私は隠しています。今さら主人にも子どもにも言えません」と、こっそり打ち明けられたという体験を、居森さんは後年語っています。

    (46分37秒~)
    https://youtu.be/Iqz6ODgSEe0?t=2797

    居森さん「そんな人、けっこういるんですよ」


    2018年6月18日月曜日

    「累積1ミリシーベルトで被爆者健康手帳は交付されるか」の質問に対する行政・自治体からの正式回答



    広島県庁に私から確認の問い合わせをして、この件について正式な回答を頂きました


    〔私からの問い合わせ〕

    被爆者健康手帳が交付される場合、広島県のホームページでも公開されている申請交付要件には記載されてないようですが、こんな噂があります。
    「長崎・広島では累積被ばく量、1ミリシーベルトで被爆者手帳が交付される」という話を聞いているのですが、これは本当でしょうか。累積で1ミリシーベルトの被ばくなら被爆者手帳が貰えるのでしょうか。このような事実はありますか。
    広島県としての回答を、ご教示下さいますよう、どうぞよろしくお願い致します。


    〔広島県からの正式回答〕

    ご照会のありました,被爆者健康手帳の交付条件ですが、
    手帳交付の要件に、
    「累積で1ミリシーベルトの被ばく」という要件はありません。
    よって、「累積で1ミリシーベルトの被ばく」をもって、手帳を交付することはありません。
    よろしくお願いします。

    【広島県被爆者支援課】





    被爆者団体、日本被団協にも確認してみましたが同様のお答えを頂いています。



    もちろん仰る通り、被爆者手帳に線量規定などなく、間違った認識が拡がることは本当に困ります」 

    【日本被団協】





    また、上記に加え、同様の質問についての長崎県長崎市

    さらに隣の岡山県山口県、それぞれの回答を以下に掲載します




    〔長崎県からの正式回答〕

    お問い合わせいただいた被爆者健康手帳については、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」(以下、被爆者援護法)第1条第1項の1号から4号に該当する方に交付されます。
    被爆者援護法の概要はホームページに紹介しておりますが、
    被爆者援護法には「広島・長崎では累積被ばく量、1ミリシーベルトで被爆者手帳が交付される」という規定はございませんので、当然、被爆者援護法の被爆者として認定されることはございません。

    今後とも被爆者援護法の規定をホームページなどで広く皆様にお知らせし、被爆者援護法の適正な運用を図ってまいります。





    〔長崎市からの正式回答〕

    被爆した放射線量を被爆者健康手帳の交付要件とする法の規定はございませんし、
    交付した事実もございません。



    長崎市回答時の添付資料





    〔岡山県からの正式回答〕

    被爆者健康手帳の交付要件については、
    「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年12月16日法律第117号)」
    で定められております。
    この法律の前段には、国の責任においてということが明記されており、
    原爆施策については、国の指針に基づき、
    各県及び広島市、長崎市において実施しているところです。

    手帳の交付要件につきましても、この法律に則り、
    法律に定めのある要件に該当することが証明できるものについて認定を行っております。
    この要件の具体的な区域については、
    「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行令(平成7年2月17日政令第26号)」
    に規定があるとおりです。
    岡山県においては、他の他府県両市と同様に、
    国の定めた認定基準に沿って認定をおこなっているところです。

    なお、お問い合わせの文中に、1ミリシーベルトという標記がございますが、
    上記の法律に、手帳の認定において、1ミリシーベルトという要件記載はありません。






    〔山口県からの正式回答〕

    被爆者健康手帳の交付については、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づき、都道府県が審査し、交付することとなっています。

    審査に当たっては、申請者について被爆の事実等を確認していますが、被ばく量について確認するようなことはありません。

    したがいまして、
    「累積、1ミリシーベルトの被ばくで被爆者手帳が貰えて国の手当てがなされる」 
    といった事実はありません。





    新潟市にも質問してみました。すぐ対応して下さり御回答を頂きました。

    〔新潟市からの回答〕

    回答させていただきます。

    ご質問の交付条件については、添付資料をご確認ください。

    また,被爆者手帳の交付と被ばく量については、現時点では、国から示されているものや情報はありません。




    回答は以上です。

    1ミリシーベルトで被爆者手帳を発行するといった事実はありません



    続いて、「被爆者健康手帳の審査および発行に関して被曝線量の数値は関係があるか」に関しての各回答は以下の通りです。



    広島県の回答

    お問い合わせいただきました、被爆者健康手帳の交付要件について

    〇広島被爆に係る被爆者健康手帳の交付要件は次の4つで、これ以外の要件はありません。
    従って、推定被爆量の数値は、交付要件になっておりません






    広島市の回答

    ご質問いただきました「被爆者健康手帳の交付要件に関する問い合わせ」の件につきまして、御説明させていただきます。

    現在、原子爆弾被爆者に対しては原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(以下「被爆者援護法という」)により、被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策が実施されており、被爆者健康手帳の交付要件については、被爆者援護法及び被爆者援護法施行令に次のように定められています。




    各都道府県、広島市、長崎市では、法律等で定められた交付要件に則って手帳交付の審査を行っており、被爆距離と被爆線量の関係などの科学的知見を踏まえた審査は行っていません



    長崎県の回答

    お問い合わせいただいた「被爆者健康手帳交付」について回答いたします。

    被爆者健康手帳は「原子爆弾に対する援護に関する法律」第2条第3項の規定により、同法第1条各号のいずれかに該当する方に対して交付することとなっており、
    放射線の被爆量によって被爆者として認定されることはございません
    今後とも同法の適切な運用を図り、被爆者の方々に対する援護を実施してまいります。




    長崎市の回答

    被爆線量に関する記載はありません。(以下、全文)




    岡山県の回答

    お問い合わせいただいた標記の件について回答いたします。

    被爆者健康手帳の認定については、
    「原子爆弾に対する援護に関する法律(平成6年12月16日法律第117号)」第1条に定められており、
    これらの各号に該当する認定の区域、期間は、
    「原子爆弾に対する援護に関する法律施行令(平成7年2月17日政令第26号)」第1条の規定のとおりです。
    これらの規定にシーベルト等の線量についての記載はございません

    原爆施策においては、当該法律の前段に国の責任が明記されており、
    国の指針に基づき各県及び広島・長崎両市において実施しております。
    上記の法律等にシーベルト等の記載はないため、
    手帳取得の申請がある場合は、被爆のシーベルトを審査するのではなく、
    上記の規定における認定基準に該当するかについて審査しているところです。

    宜しくお願い致します。

    岡山県保健福祉課 援護班








    山口県の回答

    お問い合わせいただきました、被爆者健康手帳の交付要件につきまして、下記の通りお答えします。
    被爆者健康手帳の交付については、□原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づき、都道府県において審査し、交付しております。
    審査に当たり、同法に定められた交付要件に該当するかの事実確認をしております。
    推定被ばく量については交付要件となっておりませんので、審査の過程で確認することはありません

    山口県健康福祉部
    医務保険課医療指導班




    2018年3月8日木曜日

    ノーモアヒバクシャ訴訟名古屋高裁判決についての声明






    2018年3月7日
    ノーモア・ヒバクシャ訴訟全国原告団
        ノーモア・ヒバクシャ訴訟弁護団連絡会
      原爆症認定訴訟愛知弁護団
             日本原水爆被害者団体協議会
    愛知県原水爆被災者の会(愛友会)
    被爆者支援ネットワークあいち



    1 本日、名古屋高等裁判所民事第4部(藤山雅行裁判長)は、長崎の原爆被爆者2名が、厚生労働大臣の原爆症認定申請却下処分の取消を求めた控訴審において、控訴人を敗訴させた原判決(名古屋地方裁判所平成28年9月14日判決)を取り消し、控訴人2名を原爆症と認める逆転勝訴判決を下した。

    2 本件では、原判決は、控訴人の申請疾病について、いずれも放射線起因性を認めながら、原爆症認定のもう一つの要件である要医療性について「被爆者が積極的な行為を伴わない定期検査等の経過観察が必要な状態にあるような場合には,同法上,原則として健康管理としての検査等によって対応すべきであって,当該疾病等につき再発や悪化の可能性が高い等の特段の事情がない限り,上記定期検査等は「医療」には当たらない」として要医療性を否定した。
    名古屋高裁判決は、要医療性について「(被爆者援護法10)条の「医療」は、積極的な治療を伴うか否かを問うべきではなく、被爆者が経過観察のために通院している場合であっても、認定に係る負傷又は疾病が「現に医療を要する状態にある」と認めるのが相当である」として、一審判決を是正する判断を行った。
    これは、被爆者を救済するという被爆者援護法の趣旨に合致した解釈であり、要医療性を狭くとらえている国の運用を厳しく批判したものである。

     国は、上告受理を申し立てることなく本判決を確定させ、控訴人らを早期に原爆症と認定するとともに、要医療性に関する自らの運用を本判決の趣旨に基づいて全面的に改めるべきである。

    3 原爆症認定集団訴訟、ノーモアヒバクシャ訴訟を通じて、全国の被爆者は、原爆による放射線被曝の影響が、被爆から70年以上たった現在も、被爆者の体を蝕み続けている実態を明らかにしてきた。
    このような、被爆者が命をかけて訴え続けてきた核兵器の残虐性、非人道性が、国際世論を動かし、核兵器禁止条約の成立という画期的な成果につながっている。

     国は、「唯一の被爆国」の政府として、今もなお原爆の被害に苦しみ続けている被爆者が訴訟に訴えねばならない状況をなくすために原爆症認定制度を抜本的に改めるとともに、核をめぐり緊迫する国際情勢を転換するためにも、核兵器禁止条約に参加する態度を表明し、核兵器廃絶の先頭に立つべきである。



    2017年7月30日日曜日

    原爆粉じん 急性症状多発 放影研、内部被ばく過小評価か


    毎日新聞



    アンケートは、当時15~19歳の陸軍船舶特別幹部候補生だった142人を対象に昨年2月に実施。候補生は原爆が落とされた1945年8月6日、広島市外で集められ、正午~午後5時ごろに救護のため市内に入った。
    作業の場所や内容、粉じんを浴びた状況、その後の健康状態などを尋ねて64人から回答を得た。
     脱毛や下痢などの急性症状の頻度は、爆心地から半径2キロ以内で作業して粉じんを浴びたグループ(21人)が、2キロ以遠で浴びなかったグループ(22人、不明も含む)の11.7倍に上り、2キロ以遠で浴びた人(9人)も5.5倍と高かった。
    後にがんや白血病になった事例も、浴びたグループの方が多かった。
    大瀧名誉教授は「サンプル数は少ないが、年齢や健康状態、活動時間がほぼ同じでデータの信頼性は高い」としている。
     また、放影研が2001年に公表した被爆者3042人の染色体異常の発生頻度と推定放射線量の関係を示すデータも再検討した結果、屋内で被爆した人の放射線量が実際は約30%多い可能性があることが判明。
    大瀧名誉教授らは「後に倒壊建物の粉じんなどを吸って内部被ばくし、染色体異常につながった可能性が高い」と結論づけた。

     放影研は残留放射線や内部被ばくについて「原爆さく裂時に放出された初期放射線に比べてかなり小さい値で、健康リスクに大きく影響しない」とし、初期放射線のみを算定する被ばく線量推定方式を作成。国はこれを原爆症認定に用いてきた。
    一方で、認定訴訟では原告の体験や症状の検討から内部被ばくの過小評価を指摘する司法判断が相次いでいた。
    大瀧教授は「援護されるべき被爆者らが見捨てられてきた恐れがある。方式を見直すべきだ」としている。


    2017年7月10日月曜日

    〈全文〉核兵器禁止条約 (英文・和訳併記) Nuclear Weapons Convention


    The States Parties to this Treaty,

    Determined to contribute to the realization of the purposes and principles of the Charter of the United Nations, 
    本条約の締約国は、国連憲章の目的と原則の実現に貢献することを決意。

    Deeply concerned about the catastrophic humanitarian consequences that would result from any use of nuclear weapons, and recognizing the consequent need to completely eliminate such weapons, which remains the only way to guarantee that nuclear weapons are never used again under any circumstances, 
    核兵器の使用によって引き起こされる破局的な人道上の結末を深く懸念し、そのような兵器全廃の重大な必要性を認識、全廃こそがいかなる状況においても核兵器が二度と使われないことを保証する唯一の方法である。

    Mindful of the risks posed by the continued existence of nuclear weapons, including from any nuclear-weapon detonation by accident, miscalculation or design, and emphasizing that these risks concern the security of all humanity, and that all States share the responsibility to prevent any use of nuclear weapons, 
    偶発や誤算あるいは意図に基づく核兵器の爆発を含め、核兵器が存在し続けることで生じる危険性に留意。これらの危険性は全人類の安全保障に関わり、全ての国が核兵器の使用防止に向けた責任を共有していることを強調。

    Cognizant that the catastrophic consequences of nuclear weapons cannot be adequately addressed, transcend national borders, pose grave implications for human survival, the environment, socioeconomic development, the global economy, food security and the health of current and future generations, and have a disproportionate impact on women and girls, including as a result of ionizing radiation, 
    核兵器の破局的な結果には十分に対処できない上、国境を越え、人類の生存や環境、社会経済の開発、地球規模の経済、食料安全保障および現在と将来世代の健康に対する深刻な関連性を示し、ならびに電離放射能の結果を含めた母体や少女に対する不釣り合いな影響を認識。

    Acknowledging the ethical imperatives for nuclear disarmament and the urgency of achieving and maintaining a nuclear-weapon-free world, which is a global public good of the highest order, serving both national and collective security interests, 
    核軍縮ならびに核兵器なき世界の実現および維持の緊急性に対する倫理的責務を認識し、これは国家および集団的な安全保障の利益にかなう最高次元での地球規模の公共の利益である。

    Mindful of the unacceptable suffering of and harm caused to the victims of the use of nuclear weapons (hibakusha), as well as of those affected by the testing of nuclear weapons, 
    核兵器の使用による被害者(ヒバクシャ)ならびに核兵器の実験によって影響を受けた人々に引き起こされる受け入れがたい苦痛と危害に留意。

    Recognizing the disproportionate impact of nuclear-weapon activities on indigenous peoples, 
    核兵器に関わる活動で先住民に対する不釣り合いに大きな影響を認識。

    Reaffirming the need for all States at all times to comply with applicable international law, including international humanitarian law and international human rights law, 
    全ての国は国際人道法や国際人権法を含め、適用される国際法を常に順守する必要性があることを再確認。

    Basing themselves on the principles and rules of international humanitarian law, in particular the principle that the right of parties to an armed conflict to choose methods or means of warfare is not unlimited, the rule of distinction, the prohibition against indiscriminate attacks, the rules on proportionality and precautions in attack, the prohibition on the use of weapons of a nature to cause superfluous injury or unnecessary suffering, and the rules for the protection of the natural environment, 
    国際人道法の原則や規則を基礎とし、とりわけ武装紛争の当事者が戦時において取り得る方法や手段の権利は無制限ではないという原則、区別の規則、無差別攻撃の禁止、均衡の規則、攻撃の予防措置、過度な負傷や不要な苦痛を引き起こす兵器使用の禁止、自然保護の規則。

    Considering that any use of nuclear weapons would be contrary to the rules of international law applicable in armed conflict, in particular the principles and rules of international humanitarian law, 
    いかなる核兵器の使用も武力紛争に適用される国際法の規則、とりわけ人道法の原則と規則に反していることを考慮。

    Reaffirming that any use of nuclear weapons would also be abhorrent to the principles of humanity and the dictates of public conscience, 
    いかなる核兵器の使用も人間性の原則や公共の良心の指図に反することを考慮。

    Recalling that, in accordance with the Charter of the United Nations, States must refrain in their international relations from the threat or use of force against the territorial integrity or political independence of any State, or in any other manner inconsistent with the Purposes of the United Nations, and that the establishment and maintenance of international peace and security are to be promoted with the least diversion for armaments of the world’s human and economic resources, 
    各国は国連憲章に基づき、国際関係においていかなる国の領土の一体性や政治的独立、あるいはその他の国連の目的にそぐわない形での武力による威嚇や使用を抑制すべき点を想起し、さらに国際平和と安全の確立と維持は世界の人的、経済的資源を極力軍備に回さないことで促進される点を想起。

    Recalling also the first resolution of the General Assembly of the United Nations, adopted on 24 January 1946, and subsequent resolutions which call for the elimination of nuclear weapons, 
    1946年1月24日に採択された国連総会の最初の決議ならびに核兵器の廃棄を求めるその後の決議を想起。

    Concerned by the slow pace of nuclear disarmament, the continued reliance on nuclear weapons in military and security concepts, doctrines and policies, and the waste of economic and human resources on programmes for the production, maintenance and modernization of nuclear weapons, 
    核軍縮の遅い歩みに加え、軍事や安全保障上の概念や教義、政策における核兵器への継続的依存、ならびに核兵器の生産や維持、現代化の計画に対する経済的、人的資源の浪費を懸念。

    Recognizing that a legally binding prohibition of nuclear weapons constitutes an important contribution towards the achievement and maintenance of a world free of nuclear weapons, including the irreversible, verifiable and transparent elimination of nuclear weapons, and determined to act towards that end, 
    核兵器について後戻りせず、検証可能で透明性のある廃棄を含め、核兵器の法的拘束力を持った禁止は核兵器なき世界の実現と維持に向けて重要な貢献となる点を認識し、その実現に向けて行動することを決意。

    Determined to act with a view to achieving effective progress towards general and complete disarmament under strict and effective international control, 
    厳密かつ効果的な国際管理の下、総合的かつ完全な軍縮に向けた効果的な進展の実現を視野に行動することを決意。

    Reaffirming that there exists an obligation to pursue in good faith and bring to a conclusion negotiations leading to nuclear disarmament in all its aspects under strict and effective international control, 
    厳密かつ効果的な国際管理の下での核軍縮のための交渉を誠実に追求し、結論を出す義務があることを再確認。

    Reaffirming also that the full and effective implementation of the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons, which serves as the cornerstone of the nuclear disarmament and non-proliferation regime, has a vital role to play in promoting international peace and security, 
    核軍縮と不拡散体制の礎石である核拡散防止条約の完全かつ効果的な履行は国際平和と安全を促進する上で極めて重要な役割を有する点を再確認。

    Recognizing the vital importance of the Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty and its verification regime as a core element of the nuclear disarmament and non-proliferation regime, 
    核軍縮と不拡散体制の核心的要素として、包括的核実験禁止条約とその検証体制の不可欠な重要性を再確認。

    Reaffirming the conviction that the establishment of the internationally recognized nuclear-weapon-free zones on the basis of arrangements freely arrived at among the States of the region concerned enhances global and regional peace and security, strengthens the nuclear non-proliferation regime and contributes towards realizing the objective of nuclear disarmament, 
    国際的に認知されている非核地帯は関係する国々の間における自由な取り決めを基に創設され、地球規模および地域の平和と安全を強化している点、ならびに核不拡散体制を強化し、さらに核軍縮の目標実現に向け貢献している点を再確認。

    Emphasizing that nothing in this Treaty shall be interpreted as affecting the inalienable right of its States Parties to develop research, production and use of nuclear energy for peaceful purposes without discrimination, 
    本条約は、締約諸国が一切の差別なく平和目的での核エネルギーの研究と生産、使用を進めるという譲れない権利に悪影響を及ぼすとは解釈されないことを強調。

    Recognizing that the equal, full and effective participation of both women and men is an essential factor for the promotion and attainment of sustainable peace and security, and committed to supporting and strengthening the effective participation of women in nuclear disarmament, 
    平等かつ完全で効果的な女性と男性双方の参加は持続性ある平和と安全の促進・達成の重要な要素であり、核軍縮における女性の効果的な参加の支持と強化に取り組むことを再確認。

    Recognizing also the importance of peace and disarmament education in all its aspects and of raising awareness of the risks and consequences of nuclear weapons for current and future generations, and committed to the dissemination of the principles and norms of this Treaty, 
    あらゆる側面における平和と軍縮教育、ならびに現代および将来世代における核兵器の危険性と結果を認知する重要性を認識し、さらに本条約の原則と規範の普及に向けて取り組む。

    Stressing the role of public conscience in the furthering of the principles of humanity as evidenced by the call for the total elimination of nuclear weapons, and recognizing the efforts to that end undertaken by the United Nations, the International Red Cross and Red Crescent Movement, other international and regional organizations, non-governmental organizations, religious leaders, parliamentarians, academics and the hibakusha, 
    核兵器廃絶への呼び掛けでも明らかなように人間性の原則の推進における公共の良心の役割を強調し、国連や赤十字国際委員会、その他の国際・地域の機構、非政府組織、宗教指導者、国会議員、学界ならびにヒバクシャによる目標達成への努力を認識。

    Have agreed as follows: 
    以下のように合意:


    Article 1 Prohibitions 
    第1条(禁止)

    1. Each State Party undertakes never under any circumstances to: 
    一、締約国はいかなる状況においても以下を実施しない。

    (a) Develop, test, produce, manufacture, otherwise acquire, possess or stockpile nuclear weapons or other nuclear explosive devices; 
    (a)核兵器あるいはその他の核爆発装置の開発、実験、製造、生産、あるいは獲得、保有、貯蔵。

    (b) Transfer to any recipient whatsoever nuclear weapons or other nuclear explosive devices or control over such weapons or explosive devices directly or indirectly; 
    (b)直接、間接を問わず核兵器およびその他の核爆発装置の移譲、あるいはそうした兵器の管理の移譲。

    (c) Receive the transfer of or control over nuclear weapons or other nuclear explosive devices directly or indirectly; 
    (c)直接、間接を問わず、核兵器あるいはその他の核爆発装置、もしくはそれらの管理の移譲受け入れ。

    (d) Use or threaten to use nuclear weapons or other nuclear explosive devices; 
    (d)核兵器もしくはその他の核爆発装置の使用、あるいは使用するとの威嚇。

    (e) Assist, encourage or induce, in any way, anyone to engage in any activity prohibited to a State Party under this Treaty; 
    (e)本条約で締約国に禁じている活動に関与するため、誰かを支援、奨励、勧誘すること。

    (f) Seek or receive any assistance, in any way, from anyone to engage in any activity prohibited to a State Party under this Treaty; 
    (f)本条約で締約国に禁じている活動に関与するため、誰かに支援を要請し、受け入れること。

    (g) Allow any stationing, installation or deployment of any nuclear weapons or other nuclear explosive devices in its territory or at any place under its jurisdiction or control. 
    (g)領内あるいは管轄・支配が及ぶ場所において、核兵器やその他の核爆発装置の配備、導入、展開の容認。

    Article 2 Declarations 
    第2条(申告)

    1. Each State Party shall submit to the Secretary-General of the United Nations, not later than 30 days after this Treaty enters into force for that State Party, a declaration in which it shall: 
    一、締約各国は本条約が発効してから30日以内に国連事務総長に対し以下の申告を提出。

    (a) Declare whether it owned, possessed or controlled nuclear weapons or nuclear explosive devices and eliminated its nuclear-weapon programme, including the elimination or irreversible conversion of all nuclear-weapons-related facilities, prior to the entry into force of this Treaty for that State Party; 
    (a)本条約の発効前に核兵器あるいは核爆発装置を所有、保有、管理していたかどうかや、核兵器計画については核兵器関連の全ての施設を廃棄もしくは後戻りしない形で転換したかどうかを含めた廃棄の申告。

    (b) Notwithstanding Article 1 (a), declare whether it owns, possesses or controls any nuclear weapons or other nuclear explosive devices; 
    (b)第1条(a)にもかかわらず、核兵器もしくは核爆発装置を所有、保有、管理していたかどうかの申告。

    (c) Notwithstanding Article 1 (g), declare whether there are any nuclear weapons or other nuclear explosive devices in its territory or in any place under its jurisdiction or control that are owned, possessed or controlled by another State. 
    (c)第1条(g)にもかかわらず、領内やその他の管轄・支配している場所において、他国が所有、保有、管理する核兵器やその他の核爆発装置があるかどうかの申告。

    2. The Secretary-General of the United Nations shall transmit all such declarations received to the States Parties. 
    二、国連事務総長は受領した全ての申告を締約諸国に送付。

    Article 3 Safeguards 
    第3条(保障措置)

    1. Each State Party to which Article 4, paragraph 1 or 2, does not apply shall, at a minimum, maintain its International Atomic Energy Agency safeguards obligations in force at the time of entry into force of this Treaty, without prejudice to any additional relevant instruments that it may adopt in the future. 
    一、第4条の一項、二項に当てはまらない各締約国は最低限でも、将来採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、本条約が発効した段階で国際原子力機関の保障措置上の義務を守る。

    2. Each State Party to which Article 4, paragraph 1 or 2, does not apply that has not yet done so shall conclude with the International Atomic Energy Agency and bring into force a comprehensive safeguards agreement (INFCIRC/153 (Corrected)). Negotiation of such agreement shall commence within 180 days from the entry into force of this Treaty for that State Party. The agreement shall enter into force no later than 18 months from the entry into force of this Treaty for that State Party. Each State Party shall thereafter maintain such obligations, without prejudice to any additional relevant instruments that it may adopt in the future. 
    二、第4条の一項、二項に当てはまらず、国際原子力機関と包括的保障措置協定を締結していない締約国は、包括的保障措置協定について合意し、発効させる。協定の交渉はその締約国について本条約が発効してから180日以内に開始。協定はその締約国の本条約発効から18カ月以内に発効。それゆえ各締約国は将来において採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、義務を守る。

    Article 4 Towards the total elimination of nuclear weapons 
    第4条(核兵器の全廃に向けて)

    1. Each State Party that after 7 July 2017 owned, possessed or controlled nuclear weapons or other nuclear explosive devices and eliminated its nuclear-weapon programme, including the elimination or irreversible conversion of all nuclear-weapons-related facilities, prior to the entry into force of this Treaty for it, shall cooperate with the competent international authority designated pursuant to paragraph 6 of this Article for the purpose of verifying the irreversible elimination of its nuclear-weapon programme. The competent international authority shall report to the States Parties. Such a State Party shall conclude a safeguards agreement with the International Atomic Energy Agency sufficient to provide credible assurance of the non-diversion of declared nuclear material from peaceful nuclear activities and of the absence of undeclared nuclear material or activities in that State Party as a whole. Negotiation of such agreement shall commence within 180 days from the entry into force of this Treaty for that State Party. The agreement shall enter into force no later than 18 months from the entry into force of this Treaty for that State Party. That State Party shall thereafter, at a minimum, maintain these safeguards obligations, without prejudice to any additional relevant instruments that it may adopt in the future. 
    一、2017年7月7日以降に核兵器もしくは核爆発装置を所有、保有、管理し、また本条約の発効前に全ての核兵器関連施設の廃棄もしくは後戻りしない形での転換を含め核兵器計画を廃棄した締約国は、核兵器計画が後戻りしない形で廃棄されたことを検証する目的のため、第4条の六項で指定する法的権限のある国際機関と協力。その機関は締約諸国に報告。そうした締約国は申告済みの核物質が平和的な核活動から転用されていないことやその国全体で未申告の核物質・核活動がないことについて信頼に足る確証を与えるため、国際原子力機関と保障措置協定を締結。協定の交渉はその締約国について本条約が発効してから180日以内に開始。協定はその締約国の本条約発効から18カ月以内に発効。それゆえ各締約国は将来において採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、これら保障措置の義務を守る。

    2. Notwithstanding Article 1 (a), each State Party that owns, possesses or controls nuclear weapons or other nuclear explosive devices shall immediately remove them from operational status, and destroy them as soon as possible but not later than a deadline to be determined by the first meeting of States Parties, in accordance with a legally binding, time-bound plan for the verified and irreversible elimination of that State Party’s nuclear-weapon programme, including the elimination or irreversible conversion of all nuclear-weapons-related facilities. The State Party, no later than 60 days after the entry into force of this Treaty for that State Party, shall submit this plan to the States Parties or to a competent international authority designated by the States Parties. The plan shall then be negotiated with the competent international authority, which shall submit it to the subsequent meeting of States Parties or review conference, whichever comes first, for approval in accordance with its rules of procedure. 
    二、第1条(a)にもかかわらず、核兵器やその他の核爆発装置を所有、保有、管理する締約国は、それらを直ちに核兵器システムの稼働状態から取り外し、破壊する。これは、全ての核兵器関連施設の廃棄もしくは後戻りしない形での転換を含め、検証可能かつ後戻りしない形での核兵器計画廃棄のため、法的拘束力があり時間を区切った計画に沿ってできるだけ速やかに、ただ締約諸国の最初の会議で決めた締め切りより遅れてはいけない。その締約国は本条約がその国で発効してから60日以内に、本計画を締約諸国や締約諸国が指定した法的権限のある国際機関に提出。本計画は法的権限のある国際機関と協議される。国際機関は手続き規則に従って承認を得るため、その後の締約国会議か再検討会議かいずれか早い方に本計画を提出。

    3. A State Party to which paragraph 2 above applies shall conclude a safeguards agreement with the International Atomic Energy Agency sufficient to provide credible assurance of the non-diversion of declared nuclear material from peaceful nuclear activities and of the absence of undeclared nuclear material or activities in the State as a whole. Negotiation of such agreement shall commence no later than the date upon which implementation of the plan referred to in paragraph 2 is completed. The agreement shall enter into force no later than 18 months after the date of initiation of negotiations. That State Party shall thereafter, at a minimum, maintain these safeguards obligations, without prejudice to any additional relevant instruments that it may adopt in the future. Following the entry into force of the agreement referred to in this paragraph, the State Party shall submit to the Secretary-General of the United Nations a final declaration that it has fulfilled its obligations under this Article. 
    三、上記二項に当てはまる締約国は、申告済みの核物質が平和的な核活動から転用されていないことやその国全体で未申告の核物質・核活動がないことについて信頼に足る確証を与えるため、国際原子力機関と保障措置協定を締結。協定の交渉は二項で言及した本計画の履行が完了する日までに開始。協定は交渉開始から18カ月以内に発効。それゆえ締約国は最低限、将来において採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、これら保障措置の義務を守る。三項で言及された協定の発効後、その締約国は国連事務総長に第4条での義務を遂行したとの申告を提出。

    4. Notwithstanding Article 1 (b) and (g), each State Party that has any nuclear weapons or other nuclear explosive devices in its territory or in any place under its jurisdiction or control that are owned, possessed or controlled by another State shall ensure the prompt removal of such weapons, as soon as possible but not later than a deadline to be determined by the first meeting of States Parties. Upon the removal of such weapons or other explosive devices, that State Party shall submit to the Secretary-General of the United Nations a declaration that it has fulfilled its obligations under this Article. 
    四、第1条(b)(g)にもかかわらず、領内やその他の管轄・支配している場所において、他国が所有、保有、管理する核兵器やその他の核爆発装置がある締約国は、それら兵器についてできるだけ速やかに、ただ締約国の最初の会議で決めた締め切りより遅れることなく、迅速な撤去を確実にする。そうした兵器と爆発装置の撤去に関し、締約国は国連事務総長に第4条の義務を遂行したとの申告を提出。

    5. Each State Party to which this Article applies shall submit a report to each meeting of States Parties and each review conference on the progress made towards the implementation of its obligations under this Article, until such time as they are fulfilled. 
    五、第4条が当てはまる締約国は、第4条での義務履行を遂行するまで、締約国会議と再検討会議に進展状況の報告書を提出。

    6. The States Parties shall designate a competent international authority or authorities to negotiate and verify the irreversible elimination of nuclear-weapons programmes, including the elimination or irreversible conversion of all nuclear-weapons-related facilities in accordance with paragraphs 1, 2 and 3 of this Article. In the event that such a designation has not been made prior to the entry into force of this Treaty for a State Party to which paragraph 1 or 2 of this Article applies, the Secretary-General of the United Nations shall convene an extraordinary meeting of States Parties to take any decisions that may be required. 
    六、締約諸国は核兵器計画の後戻りしない形での廃棄のための交渉と検証のため、法的権限のある国際機関を指定。検証には第4条の一項、二項、三項に従って、全ての核兵器関連施設の廃棄や後戻りしない形での転換を含む。第4条の一項、二項が当てはまる締約国に対する本条約の発効前に上記の指定が済んでいない場合、国連事務総長は必要な決定のため締約国の特別な会議を開催。

    Article 5 National implementation 
    第5条(国家の履行)

    1. Each State Party shall adopt the necessary measures to implement its obligations under this Treaty. 
    一、締約国は本条約の義務履行のために必要な措置を導入する。

    2. Each State Party shall take all appropriate legal, administrative and other measures, including the imposition of penal sanctions, to prevent and suppress any activity prohibited to a State Party under this Treaty undertaken by persons or on territory under its jurisdiction or control. 
    二、締約各国は、個人またはその管轄・支配にある区域で行われる本条約の禁止行為を防止し抑制するため、刑事罰の強制を含め、全ての適切な法律上、行政上あるいはそれ以外の措置を導入。

    Article 6 Victim assistance and environmental remediation 
    第6条(被害者支援と環境改善)

    1. Each State Party shall, with respect to individuals under its jurisdiction who are affected by the use or testing of nuclear weapons, in accordance with applicable international humanitarian and human rights law, adequately provide age-and gender-sensitive assistance, without discrimination, including medical care, rehabilitation and psychological support, as well as provide for their social and economic inclusion. 
    一、締約各国は、核兵器の使用や実験に伴って悪影響を受けた管轄下の個人に関し、国際人道・人権法に従って、医療ケアやリハビリ、心理的な支援を含め、年齢や性別に適した支援を十分に提供。社会的、経済的な面についても同様。

    2. Each State Party, with respect to areas under its jurisdiction or control contaminated as a result of activities related to the testing or use of nuclear weapons or other nuclear explosive devices, shall take necessary and appropriate measures towards the environmental remediation of areas so contaminated. 
    二、締約国は管轄・支配下の地域が核兵器の実験や使用に関連する活動の結果、汚染された場合、汚染地域の環境改善に向け必要かつ適当な措置を受け取る。

    3. The obligations under paragraphs 1 and 2 above shall be without prejudice to the duties and obligations of any other States under international law or bilateral agreements. 
    三、上記一項、二項の義務は国際法や2国間の取り決めの下で負う他の国の責務や義務には関係しない。

    Article 7 International cooperation and assistance 
    第7条(国際協力と支援)

    1. Each State Party shall cooperate with other States Parties to facilitate the implementation of this Treaty. 
    一、締約各国は本条約の履行を促進するため、他の締約国と協力。

    2. In fulfilling its obligations under this Treaty, each State Party shall have the right to seek and receive assistance, where feasible, from other States Parties. 
    二、本条約の義務を履行するに当たり、締約各国は他の締約国から、それが実行可能なら支援を求め、受け取る権利がある。

    3. Each State Party in a position to do so shall provide technical, material and financial assistance to States Parties affected by nuclear-weapons use or testing, to further the implementation of this Treaty. 
    三、それが可能な締約国は、本条約の履行促進のため、核兵器の使用や実験で悪影響を受けた締約国に技術的、物質的、財政的な支援を与える。

    4. Each State Party in a position to do so shall provide assistance for the victims of the use or testing of nuclear weapons or other nuclear explosive devices. 
    四、それが可能な締約国は核兵器その他の爆発装置の使用と実験に伴う被害者に対する支援を与える。

    5. Assistance under this Article may be provided, inter alia, through the United Nations system, international, regional or national organizations or institutions, non-governmental organizations or institutions, the International Committee of the Red Cross, the International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies, or national Red Cross and Red Crescent Societies, or on a bilateral basis. 
    五、第7条の下での支援は、とりわけ国連機構、国際あるいは地域、各国の機構や機関、非政府の機構や機関、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟、各国の赤十字・赤新月社、または2国間の枠組みで提供される。

    6. Without prejudice to any other duty or obligation that it may have under international law, a State Party that has used or tested nuclear weapons or any other nuclear explosive devices shall have a responsibility to provide adequate assistance to affected States Parties, for the purpose of victim assistance and environmental remediation. 
    六、国際法でのその他の責務や義務にかかわりなく、核兵器やその他の核爆発装置を使用、実験した締約国は、被害者の支援と環境改善の目的のため、被害に遭った締約国に十分な支援を提供する責任を有する。

    Article 8 Meeting of States Parties 
    第8条(締約国会議)

    1. The States Parties shall meet regularly in order to consider and, where necessary, take decisions in respect of any matter with regard to the application or implementation of this Treaty, in accordance with its relevant provisions, and on further measures for nuclear disarmament, including: 
    一、締約国は、関連の規定に従い本条約の適用や履行、核軍縮のさらなる措置において、検討や必要であれば決定のため、定期的に会合する。これには以下を含む。

    (a) The implementation and status of this Treaty; 
    (a)本条約の履行と締約の状況。

    (b) Measures for the verified, time-bound and irreversible elimination of nuclear-weapon programmes, including additional protocols to this Treaty; 
    (b)本条約の追加議定書を含め、核兵器計画の検証可能で時間を区切った後戻りしない廃棄のための措置。

    (c) Any other matters pursuant to and consistent with the provisions of this Treaty. 
    (c)本条約に準拠し、一致したその他の事項。

    2. The first meeting of States Parties shall be convened by the Secretary-General of the United Nations within one year of the entry into force of this Treaty. Further meetings of States Parties shall be convened by the Secretary-General of the United Nations on a biennial basis, unless otherwise agreed by the States Parties. The meeting of States Parties shall adopt its rules of procedure at its first session. Pending their adoption, the rules of procedure of the United Nations conference to negotiate a legally binding instrument to prohibit nuclear weapons, leading towards their total elimination, shall apply. 
    二、最初の締約国会議は本条約が発効してから1年以内に国連事務総長によって開かれる。その後の締約国会議は、締約諸国による別の合意がない限り、国連事務総長によって2年ごとに開かれる。締約国会議は最初の会議で手続き規則を採択。採択までの間は、核兵器を禁止するため法的拘束力のある文書を交渉する国連会議における手続き規則を適用。

    3. Extraordinary meetings of States Parties shall be convened, as may be deemed necessary, by the Secretary-General of the United Nations, at the written request of any State Party provided that this request is supported by at least one third of the States Parties. 
    三、特別な締約国会議は必要と見なされる場合、締約国全体の少なくとも3分の1の支持がある締約国の書面要請に基づき、国連事務総長が開催する。

    4. After a period of five years following the entry into force of this Treaty, the Secretary-General of the United Nations shall convene a conference to review the operation of the Treaty and the progress in achieving the purposes of the Treaty. The Secretary-General of the United Nations shall convene further review conferences at intervals of six years with the same objective, unless otherwise agreed by the States Parties. 
    四、本条約が発効して5年の時点で、締約国会議は本条約の運用および本条約の目的達成の進展状況を再検討するため会議を開く。国連事務総長は、締約諸国による別の同意がない限り、その後の同じ目的のための再検討会議を6年ごと開催。

    5. States not party to this Treaty, as well as the relevant entities of the United Nations system, other relevant international organizations or institutions, regional organizations, the International Committee of the Red Cross, the International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies and relevant non-governmental organizations, shall be invited to attend the meetings of States Parties and the review conferences as observers. 
    五、本条約の非締約国ならびに国連システムの関連機関、その他の関連国際機構と機関、地域機構、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟、関連の非政府組織は締約国会議や再検討会議にオブザーバーとして招待される。

    Article 9 Costs 
    第9条(費用)

    1. The costs of the meetings of States Parties, the review conferences and the extraordinary meetings of States Parties shall be borne by the States Parties and States not party to this Treaty participating therein as observers, in accordance with the United Nations scale of assessment adjusted appropriately. 
    一、締約国会議と再検討会議、特別会議の費用は、適宜調整した国連の分担率に従い、締約国および会議にオブザーバーとして参加する非締約国によって負担する。

    2. The costs incurred by the Secretary-General of the United Nations in the circulation of declarations under Article 2, reports under Article 4 and proposed amendments under Article 10 of this Treaty shall be borne by the States Parties in accordance with the United Nations scale of assessment adjusted appropriately. 
    二、本条約の第2条の下での申告、第4条の下での報告、第10条の下での改正の通知のために国連事務総長が負う費用は適宜調整した国連分担率に応じて締約国が負う。

    3. The cost related to the implementation of verification measures required under Article 4 as well as the costs related to the destruction of nuclear weapons or other nuclear explosive devices, and the elimination of nuclear-weapon programmes, including the elimination or conversion of all nuclear-weapons-related facilities, should be borne by the States Parties to which they apply. 
    三、第4条の下で求められる検証措置の履行や、核兵器その他の核爆発装置の廃棄、さらに全ての核兵器関連施設の廃棄と転換を含めた核兵器計画の廃棄にかかる費用は、当該の締約国が負う。

    Article 10 Amendments 
    第10条(改正)

    1. At any time after the entry into force of this Treaty, any State Party may propose amendments to the Treaty. The text of a proposed amendment shall be communicated to the Secretary-General of the United Nations, who shall circulate it to all States Parties and shall seek their views on whether to consider the proposal. If a majority of the States Parties notify the Secretary-General of the United Nations no later than 90 days after its circulation that they support further consideration of the proposal, the proposal shall be considered at the next meeting of States Parties or review conference, whichever comes first. 
    一、締約国は本条約の発効後いつでも改正を提案できる。国連事務総長は提案文書の通知を受け、全締約国に配布し、提案を検討するかどうかの見解を求める。仮に締約国の多数が、提案の配布から90日以内に国連事務総長に対し、提案のさらなる検討を支持する旨を示せば、提案は次に開かれる締約国会議か再検討会議のいずれか早い方で検討される。

    2. A meeting of States Parties or a review conference may agree upon amendments which shall be adopted by a positive vote of a majority of two thirds of the States Parties. The Depositary shall communicate any adopted amendment to all States Parties. 
    二、締約国会議と再検討会議は締約国の3分の2の多数が賛成票を投じることで採択される改正に合意する。寄託者は採択された改正を全ての締約国に通知する。

    3. The amendment shall enter into force for each State Party that deposits its instrument of ratification or acceptance of the amendment 90 days following the deposit of such instruments of ratification or acceptance by a majority of the States Parties at the time of adoption. Thereafter, it shall enter into force for any other State Party 90 days following the deposit of its instrument of ratification or acceptance of the amendment. 
    三、改正は、改正事項の批准文書を寄託したそれぞれの締約国に対し、採択時点での締約国の過半数が批准文書を寄託してから90日後に発効する。その他の締約国は改正の批准文書の寄託から90日後の段階で発効する。

    Article 11 Settlement of disputes 
    第11条(紛争解決)

    1. When a dispute arises between two or more States Parties relating to the interpretation or application of this Treaty, the parties concerned shall consult together with a view to the settlement of the dispute by negotiation or by other peaceful means of the parties’ choice in accordance with Article 33 of the Charter of the United Nations. 
    一、本条約の解釈や適用に関し締約国の2カ国間以上で紛争が生じた場合、関係国は交渉や、国連憲章33条に従って締約国の選択によるその他の平和的な手段を通じ、紛争を解決するために協議。

    2. The meeting of States Parties may contribute to the settlement of the dispute, including by offering its good offices, calling upon the States Parties concerned to start the settlement procedure of their choice and recommending a time limit for any agreed procedure, in accordance with the relevant provisions of this Treaty and the Charter of the United Nations. 
    二、締約国会議は紛争の解決に向け貢献できる。本条約や国連憲章の関連規定に従い、あっせんの提示、関係国が選択する解決に向けた手続きの開始要請や、合意手続きの期限設定の勧告を含む。

    Article 12 Universality 
    第12条(普遍性)

    Each State Party shall encourage States not party to this Treaty to sign, ratify, accept, approve or accede to the Treaty, with the goal of universal adherence of all States to the Treaty.
    締約国は本条約の非締約国に対し、全ての国の普遍的な支持という目標に向け条約の批准、受諾、承認、加盟を促す。

    Article 13 Signature 
    第13条(署名)

    This Treaty shall be open for signature to all States at United Nations Headquarters in New York as from 20 September 2017. 
    本条約はニューヨークの国連本部で2017年9月20日、全ての国の署名を受け付ける。

    Article 14 Ratification, acceptance, approval or accession 
    第14条(批准、受諾、承認、加盟)

    This Treaty shall be subject to ratification, acceptance or approval by signatory States. The Treaty shall be open for accession. 
    本条約は署名国による批准、受諾、承認を必要とする。本条約は加盟を受け付ける。

    Article 15 Entry into force 
    第15条(発効)

    1. This Treaty shall enter into force 90 days after the fiftieth instrument of ratification, acceptance, approval or accession has been deposited. 
    一、本条約は50カ国が批准、受諾、承認、加盟の文書を寄託してから90日後に発効する。

    2. For any State that deposits its instrument of ratification, acceptance, approval or accession after the date of the deposit of the fiftieth instrument of ratification, acceptance, approval or accession, this Treaty shall enter into force 90 days after the date on which that State has deposited its instrument of ratification, acceptance, approval or accession. 
    二、50カ国の寄託が終わった後に批准、受諾、承認、加盟の文書を寄託した国については、その国の寄託から90日後に本条約が発効する。

    Article 16 Reservations 
    第16条(留保)

    The Articles of this Treaty shall not be subject to reservations. 
    本条約の条文は留保を受け付けない。

    Article 17 Duration and withdrawal 
    第17条(期間と脱退)

    1. This Treaty shall be of unlimited duration. 
    一、本条約は無期限。

    2. Each State Party shall, in exercising its national sovereignty, have the right to withdraw from this Treaty if it decides that extraordinary events related to the subject matter of the Treaty have jeopardized the supreme interests of its country. It shall give notice of such withdrawal to the Depositary. Such notice shall include a statement of the extraordinary events that it regards as having jeopardized its supreme interests. 
    二、締約各国は本条約に関連した事項が最高度の国益を損なうような特別の事態が発生したと判断した場合、国家主権を行使しながら、本条約脱退の権利を有する。寄託者に対し脱退を通告する。上記の通告には最高度の国益が脅かされると見なす特別な事態に関する声明を含める。

    3. Such withdrawal shall only take effect 12 months after the date of the receipt of the notification of withdrawal by the Depositary. If, however, on the expiry of that 12-month period, the withdrawing State Party is a party to an armed conflict, the State Party shall continue to be bound by the obligations of this Treaty and of any additional protocols until it is no longer party to an armed conflict. 
    三、上記の脱退は寄託者が通告を受け取ってから12カ月後にのみ効力を発する。しかしながら仮に12カ月の満了時点で、脱退しようとしている国が武力紛争に関わっている場合、その締約国は武力紛争が終結するまで、本条約および付属議定書の義務を負う。

    Article 18 Relationship with other agreements 
    第18条(別の合意との関係)

    The implementation of this Treaty shall not prejudice obligations undertaken by States Parties with regard to existing international agreements, to which they are party, where those obligations are consistent with the Treaty. 
    本条約の履行は本条約と一致した義務であれば、締約国が加わる既存の国際合意に関して取る義務に影響を与えない。

    Article 19 Depositary 
    第19条(寄託者)

    The Secretary-General of the United Nations is hereby designated as the Depositary of this Treaty. 
    国連事務総長は本条約の寄託者である。

    Article 20 Authentic texts 
    第20条(真正の文面)

    The Arabic, Chinese, English, French, Russian and Spanish texts of this Treaty shall be equally authentic. 
    本条約はアラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語の文面が等しく真正である。