原爆病院の被爆者 約4割がん
2018年8月3日(NHK 長崎放送)
被爆者の治療や健康管理を行う長崎市の日赤長崎原爆病院で、昨年度、入院して治療を受けた被爆者は1702人でこのうち、およそ4割はがんの治療だったことがわかりました。日赤長崎原爆病院は毎年この時期に被爆者の診療状況を発表していて、3日は平野明喜院長が記者会見を開き、ことし3月までの1年間のまとめを明らかにしました。
それによると、昨年度、原爆病院に入院して治療を受けた被爆者は、前の年度より81人少ない1702人でした。このうち最も多かった病気は「がん」で639人と全体の37.5%を占めました。がんの種類は「肺がん」が219人と最も多く、「悪性リンパ腫」が52人、「大腸がん」が50人、「胃がん」が49人などとなっています。また、入院している被爆者の平均年齢は2年前から80歳を超え、昨年度は80.5歳で、女性が81.6歳、男性が79.5歳となりました。長崎原爆病院はことし5月に新病棟が開設され、外来患者の抗がん剤治療を受けられる治療室を拡大したほか、2年後にはがんの痛みを和らげる「緩和ケア病床」の運用も始める予定です。日赤長崎原爆病院の平野明喜院長は「被爆者の治療や健康管理を行うのがこの病院の使命である。被爆者はがんが多く、在宅治療などを充実させるほか最新の医療を提供するなどして被爆者の治療に関わっていきたい」と話していました。