毎日新聞 2015年06月09日 地方版
◇長崎被爆地域拡大協と県民主医療機関連合会
長崎被爆地域拡大協議会と県民主医療機関連合会は6日、被爆体験者の健康影響に関する証言調査の結果について、調査対象の被爆体験者への報告会を始めた。被爆体験者の方が非被爆者よりも、被爆後の下痢や発熱などの症状があった割合が多く、その後に病気にかかった割合も多かったという調査結果を踏まえ、両団体は「被ばくを前提にした医療提供など、救済措置を速やかに具体化すべきだ」と強調した。
証言調査は、拡大協の会員ら193人の被爆体験者から被爆時の状況や被爆後に出た症状、その後の健康状態などを聴き取り、非被爆者152人と比較した。被ばくによる急性症状とされる下痢や発熱、脱毛などの症状があったと回答した割合は被爆体験者の方が多く、心臓病や糖尿病、貧血などの症状があったと回答した割合も被爆体験者の方が多かった。
6日は長崎市深堀町5の深堀婦人会館で初の報告会があり、調査を担当した県民医連事務局の松延栄治さんが「被爆体験者に、被ばくによる健康被害があったことが統計的に証明された」と強調した。
会場では、旧深堀村(現長崎市)で原爆に遭った女性が「兄が原爆に遭った後に下痢をし、2カ月後に死亡した」と証言するなど、参加者たちが当時の状況を語り合った。両団体は今後、伊王島や香焼など他地区でも報告会を開く。
【樋口岳大】
〔長崎版〕