2014年12月30日火曜日

泉田知事の発言問題について感じていること




関連リンク

〔泉田知事へのメールを公開〕(2014年7月)

http://renree.blogspot.jp/2014/06/blog-post.html







〔追記:2014年12月30日〕

残念ながら再三の要求を無視して泉田知事は発言訂正をしないままです。

一時ほとぼりが醒めていましたが最近また、この過去の発言の流布がインターネットで始まっています。

現在でもいろいろなところで知事の発言が誤って受け取られていて誤解が絶えません。

事実を知らずに善意で拡散している人にくわえて、日頃から被爆者手帳制度を快く感じていない人たちがおり、知事のこの発言を悪意を持ってわざと拡散しています。

また反原発を掲げている人の中に、これを自分たちにとって都合の良いように嘘の解釈をして利用している人たちもいます。

放置している泉田知事ご本人も、これを広めている人達も、どちらも無責任極まりないため、再度、私は批判します。

これが泉田知事の失言であることは新潟県庁も勿論わかっています。

もし間違いを認めてしまうと、たとえば以下のことが困るのでしょう。


(1)・知事の立場にありながら、原爆症認定制度と被爆者健康手帳制度の違いなどの基本的事項を知らなかったという粗末な県政認識がばれる

(2)・「被爆者に係る地方行政実務」における知事職の重要性を認識していなかったこと、また、そのあらゆる審査・承認を委任命令(施行令および施行規則)の定めに則して自ら行い、正しく遂行すべき義務が法律上あるところ、これまで部下任せで行っていなかった無頓着さが世間にばれる

(3)・今でも原爆被爆者の訴訟が続いているという一般社会常識に欠け、被爆者問題に意識の低かったことが露呈する




他にも理由はあるでしょうし知事のプライドが失敗を認めることを許さないのでしょう。この発言は原発事故のことで政府の対応に不満を感じている多くの人たちから「素晴らしい」「筋が通っている」「よく言ってくれた」などと絶賛を浴びました。「泉田知事が言うのだから間違いない」とたやすく信じられてしまいました。それについて事実とは異なる箇所があることを誰も指摘せず、いつの間にか下のような写真まで作られて延々と大拡散されていったことに私は愕然としました。




しかし、どんな理由で引っ込みがつかなくとも知事としての立場上、必ず御自身の発言の訂正は責任をもって行うべきであり、うやむやにする姿勢は政治家・特別職公務員として許されません。被爆者にとって重大な負の結果を引き起こしたことは事実です。

繰返しますが私は、知事が勘違いして間違えてしまったこと自体については何ら批判をしていません。もともと善意からの発言であったことも理解しています。原発事故被害を被った人たちを慮っての発言意図は支持しています。

私が批判しているのは、その後の対応のことです。発言中の明らかな間違い(被爆者手帳)の部分について何度も指摘をうけながら訂正を拒否し、被爆者の医療援護についてあらぬ誤解を大きく招いてきた状況を知りつつ不適切な放置(約16か月間)を続けていることです。誤りだと気がついた時点で、この一部分についてのみ知事御本人から訂正を行うべきでした。



以下が、新潟県庁が私からの質問に対して最後まで「回答を避けた」文章であり
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(第二条)です


関連リンク

「累積1mSvで被爆者手帳は交付されない」 それを新潟県庁が、しぶしぶ認めるまでのやりとりを公開します


http://renree.blogspot.jp/2014/07/1msv.html




「差別」という言葉には危うさがあり、ややもすると問題の本質から逸れて感情的、短絡的な意味で受け取られかねません。ですから私はこの言葉を安易には使わないよう普段はかなり自重しています。しかし今回は違います。いつまでも当たり前であるはずの軌道修正ができない。その一因として被爆者医療給付に対する嫉妬感情が背後に隠された被爆者差別問題があると思います。政治家と多数派市民が一緒になり誤解や無理解を率先して助長している現代版の被爆者差別です。

挙句には被爆者側から「被爆者にとっては大事なことなので、虚偽が拡がるようなことはやめてください。困っています。怒っています」という強い抗議をされても、なお態度を改めず事実の黙殺を続けようとする。これが「意識せず無自覚なままに差別する側になること」への鈍感さと軽薄さ、醜悪さです。踏みつけている側にその自覚はなく、当事者意識も罪の意識もないことが一番の問題なのです。

「ずっとこちらの足を踏んでいますので、とにかくどけてください」と言うと、「いいえ、これは床です」と強弁され踏み続ける。「ここは床である」を政治家が訂正しないため多くの無関心な人達が足を床だと信じて疑わず次々と踏んでいく。

そして「足である」という当然のことを指摘している私をあれこれと非難し、口を塞ごうとしてくる人が何人もいました。

また、谷岡郁子・元議員の事実誤認による被爆者援護法についての不正確な発言が訂正されないことや、大山弘一市議(現・南相馬市議会議員)の拡散行為についても同様です。全員が政治家です。軽率かつ無責任です。

他人の大切な実人生に悪影響をそのまま及ぼしかねないことであり、本来は細心の注意を払って扱われるべきこと。私は軽視できません。そのことに直接的であれ間接的であれ、政治家があまりにも鈍感すぎる。影響力の大きな公職の立場としてもそうですが人間として、人に迷惑をかける間違いをすみやかに訂正するという簡単なことが何故きちんとできないのでしょう。

人々が原発事故被害の補償を政府に強く求める心情は理解できますが、1ミリシーベルトという数字だけにとらわれ過ぎて周りが見えなくなり嘘であろうと何であろうと押し通して被爆者を利用する。モラルも吹き飛んでしまう一部の人達は常軌を逸しています。最低限やっていいことと悪いことの区別さえもつかないのでしょうか。



以下でお話されている山田寿美子さんは、御自身も被爆者です。原爆により両親を亡くされて孤児として育ちました。その経験から長年にわたり被爆者相談員としてソーシャルワークを続けられ沢山の被爆者と向きあってこられました。被爆者の問題は今でも現在進行形であり決して過去ではありません。

山田さんのように、被爆者の事実を伝えようと地道な努力を続けてこられた方は沢山います。

今までの話とも関連するところがありましたので、この記事(ほんの一部)を掲載しておきます。
手帳を持てないままでいる被爆者だけに限らず、社会から捨て置かれている方たち全般についての想像力と配慮を、どんな理由であれ絶対に軽視してはならないことを、「保身を優先して上からの視点で眺めがちになる権力を持っている方」は特にしっかり肝に銘じてほしいと思います。





平和をたずねて:原爆写影 支援の恩返し/24 

人を大切にする社会を=広岩近広

毎日新聞 2014年06月19日 大阪朝刊

慰霊の夏が終わり、秋が去り、広島は師走を迎えていた。昨年12月9日、東京から法政大学中学高等学校の中学3年生が修学旅行にやってきた。ケアマネジャーの山田寿美子さんはかつての職場だった福島生協病院(広島市西区)近くの「いきいきプラザ」に、担当する17人の生徒を迎えた。
山田さんは広島県原爆被害者団体協議会(金子一士理事長)被爆者相談所の所長を務めている。週に1度、部会に出て相談員から報告を受けて内容を検討し合う。相談が多いのは、被爆者健康手帳の取得や原爆症の認定問題だと話した。生徒の一人が、健康手帳を取得できる割合を質問すると、山田さんは「直接被爆者」「胎内被爆者」など4タイプの原爆被爆者がいることを説明してこう答えた。
「たとえば被爆者健康手帳を申請するための相談を20人から受けたとして、私たちが努力しても数人しか認めてもらえません。だから被爆者の数は、国が発表している数字より多いはずです。高齢の被爆者は多重のがんなどの健康不安と生活不安を抱えて暮らしているので、これ以上苦しめてはなりません」
被爆者健康手帳にまつわる痛ましい相談も増えてきた。介護保険は1割負担であるが、被爆者は国などの助成により、負担金を免除されている。このため「被爆者の人はいいよね」とあからさまに言われて傷つけられることもあるという。
「四国の村では、たった一人の被爆者が村役場に、手帳を返したいと申し出たそうです」。山田さんは声を強めた。「被爆者が被爆者だと名乗れなくなると、核被害を訴える力を弱めてしまいます」
次世代を担う中学生に、山田さんは被爆孤児の体験を語り、チェルノブイリ原発事故の被災者との出会いを話した。最後にこう述べて締めくくった。
「人間は一人では生きていけません、つながりが必要です。つながり、関わり合いを持つなかで、自分を成長させていくことが大切です。人が大切にされる社会は、平等な社会であり、平和な社会です。皆さんの手で、そうした社会をつくってほしい」
このあと近くの福島地区原爆犠牲者慰霊之碑に生徒を案内した。折り鶴をささげ、師走の空の下で、平和を誓い合った。17人の生徒は東京に戻ると、感謝の手紙に感想を添えて山田さんに送っている。畑中夏葵(なつき)さん(15)はこうしたためた。

<過去は変えられないけど未来は変えられます。だから、山田さんの戦争のない核のない平和な世界という思いを胸に私たちが責任を持ち、たくさんの人と手をとり合いながら平和な世界を創り上げていこうと思います>
今夏、被爆地は69回目の原爆の日を迎える。そのとき山田さんは71歳になる。「原爆は、私のような被爆孤児をつくりました。このことを知ってほしいので、語り続けていきます」

(記事おわり)





2015年1月現在。公開されている広島県府中市の公式ページ冒頭部分です。70年後の今でも、これが現実です。







黒岩晴子(ソーシャルワーカー)
「原子爆弾被爆者の保健、医療、福祉を考える」







大里巌
「生存原爆被爆者の受けた被害と救済対策」





被爆者健康手帳の交付を受けようとする者は、その居住地の「都道府県知事」に申請しなければならず(被爆者援護法2条1項)、「都道府県知事」は、同申請に基づいて審査し、申請者が前記2(1)~(4)のいずれかに該当すると認めるときは、その者に被爆者健康手帳を交付する(同条3項)

健康管理 「都道府県知事」は、被爆者に対し、毎年、厚生労働省令で定めるところにより,健康診断を行い(被爆者援護法7条)、同健康診断の結果必要があると認めるときは、当該健康診断を受けた者に対し、必要な指導を行う(被爆者援護法9条)

医療特別手当の支給 「都道府県知事」は原爆症認定を受けた者であって当該認定に係る負傷又は疾病の状態にあるものに対し医療特別手当を支給する(24条1項) 上記の者は医療特別手当の支給を受けようとするときは上記の要件に該当することについて「都道府県知事」の認定を受けなければならない

特別手当の支給 都道府県知事は、原爆症認定を受けた者に対し、その者が医療特別手当の支給を受けている場合を除き、特別手当を支給する(被爆者援護法25条1項) 上記の者は、特別手当の支給を受けようとするときは、上記の要件に該当 することについて都道府県知事の認定を受けなければならない

都道府県知事は、被爆者であって、造血機能障害、肝臓機能障害その他の厚生労働省令で定める障害を伴う疾病(原子爆弾の放射能の影響によるものでないことが明らかであるものを除く。)にかかっているものに対し、健康管理手当を支給する(被爆者援護法27条1項)

保健手当の支給 都道府県知事は、被爆者のうち原子爆弾が投下された際に爆心地から2㎞の区域内に在った者又はその当時その者の胎児であった者に対し、これらの者が医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当又は健康管理手当の支給を受けている場合を除き保健手当を支給する(被爆者援護法28条)

その他の手当等の支給 「都道府県知事」は、一定の要件を満たす被爆者等に対し,原子爆弾小頭症手当(被爆者援護法26条)、介護手当(被爆者援護法31条)等を支給する

原爆症認定の申請 原爆症認定を受けようとする者は,厚生労働省令で定めるところにより、その居住地の「都道府県知事」を経由して、厚生労働大臣に申請書を提出しなければならない(被爆者援護法施行令8条1項)

厚生労働大臣は、原爆症認定の申請書を提出した者につき原爆症認定をしたときは、その者の居住地等の「都道府県知事」を経由して、認定書を交付する (被爆者援護法施行令8条4項)