2015年4月7日火曜日

「国の線引き、根拠ない」 爆心地東方向、広島大特任教授が指摘 /長崎





原爆放射線影響研究会:

「国の線引き、根拠ない」 

爆心地東方向、広島大特任教授が指摘 /長崎

毎日新聞 2015年04月01日 地方版

長崎原爆の被爆地域拡大を国に求めるため長崎市が設置した「原爆放射線影響研究会」の第4回会合が31日、同市の原爆資料館であり、広島大大学院の静間清特任教授が参考人として講演した。
静間氏は、原爆投下から間もない時期に理化学研究所グループが測定した放射線のデータなどを基に、爆心地から東方向では、国が爆心地から約7キロで実施した被爆地域の「線引き」に、科学的な根拠がないとの見方を示した。
静間氏は、理研グループが1945年12月〜46年1月、主に爆心地から東方向の長崎市周辺や島原半島で放射線を測定したデータについて解説。

これらを基に、爆心地の東約7キロでは放射性降下物による被ばく線量を約20ミリシーベルトと推定し、付近では被爆地域の内外で線量は変わらないと指摘した。
また、爆心地の東約45キロの島原市付近でも、同約15キロ付近と同程度の被ばく線量があったと推定した。
次回会合は9〜10月に開催し、年内の結論を目指す。

【樋口岳大】
〔長崎版〕


「被爆地域適切でない」長崎市関与し削除

  • 2015年04月06日
  • NCC長崎文化放送
  • NCCテレビニュース

長崎市の「原爆放射線影響研究会」の資料の作成過程で現在の被爆地域の線引きを「適切でない」とする専門家の意見が市の関与で削除されていたことが分かりました。


被爆地域の拡大を求める被爆体験者訴訟の原告らは6日、長崎市に抗議を申し入れました。


削除されたのは先月、市の放射線影響研究会で配布した広島大学大学院の静間清特任教授の資料で

被爆指定地域を6.7キロまでとすることは適切でない
拡大是正要望地域は16キロまでとすることが適切

とする2カ所です。


申し入れに対し原爆被爆対策部の野瀬弘志部長は「事実の指摘と教授の見解が混在し分かりにくかったため事前に相談し、最終的には教授の意思で削除した。決して隠蔽する意図があったということではない」と説明しました。


話し合いは紛糾し意見は平行線をたどりました。被爆体験者側は市長の説明を求めています。





原爆放射線影響研究会:被爆体験者ら抗議 

指定地域の見解を削除、長崎市に撤回求める

毎日新聞 2015年04月07日 西部朝刊
長崎市が設置した「原爆放射線影響研究会」で、国の被爆地域(被爆者援護区域)の指定を「適切でない」と記述した専門家の見解が市の意向で配布資料から削除された問題で、長崎の被爆体験者ら約70人が6日、市役所で市幹部らに抗議し、資料の撤回を求めた。

被爆体験者は、被爆地域の外で原爆に遭ったため「被爆者」としての援護が受けられない人たち。同市などに被爆者健康手帳の交付を求めた第1陣訴訟原告団の上戸大典(だいすけ)副団長(73)は「学者の意見が事務局である市の意向で削除されることがあってはならない」と批判。被爆体験者団体「長崎被爆地域拡大協議会」の峰松巳(まつみ)会長(88)は「この文章を削るということは、私たちの要求を抑えることだ」と訴えた。
野瀬弘志・市原爆被爆対策部長は「事実の指摘と(専門家の)見解が混在して分かりにくいと思い、相談した。(専門家も)十分に納得されており、改ざんでも隠蔽(いんぺい)でもない」と説明した。
資料は3月31日の第4回会合で配布。専門家が事前に市に送った文案には「被爆指定地域を(爆心地から)6・7キロとすることは適切でない」などと記されていたが、市のチェック後に削除された。
【樋口岳大】



原爆放射線研究会の専門家見解削除:

県原水禁、長崎市に抗議 /長崎

毎日新聞 2015年04月08日 地方版
長崎市が設置した「原爆放射線影響研究会」で、国の被爆地域の指定を「適切でない」と記述した専門家の見解が市の意向で配布資料から削除された問題で、原水爆禁止長崎県民会議(上川剛史会長)は7日、市に抗議文を提出した。

抗議文は「研究会の委員を飛び越えて、事務方である担当部課長の判断で削除できるのであれば、研究会の存在意義も問われかねない。行政の役割を逸脱しており、言語道断だ」と批判。「市が意図的に改ざんしたとも取れる行為に疑念と不信感を抱かざるを得ない」と指摘した。
一方、野瀬弘志・市原爆被爆対策部長は「事実の指摘と(専門家の)見解が混在して分かりにくいと思い、相談した。改ざんや隠蔽(いんぺい)ではない」と説明した。
資料は3月31日の第4回会合で配布され、専門家が市に送った文案には「被爆指定地域を(爆心地から)6・7キロとすることは適切でない」などと記されていたが、市のチェック後に削除された。被爆体験者や被爆者の団体も抗議し、資料の撤回を求めている。
【樋口岳大】
〔長崎版〕